エキノコックス症 – 寄生虫シリーズ

エキノコックス症は、エキノコックス属条虫の幼虫に起因する疾患で、肝臓、肺臓、腎臓、脳などで幼虫が発育し、諸症状を引き起します。成虫に感染しているキツネ、イヌなどの糞便内の虫卵を経口摂取することでヒトに感染します。エキノコックス症の病原は単包条虫と多包条虫で、近年、多包性エキノコックス症が、北海道東部から北海道全域へと伝播域を拡大しつつあります。多包条虫は、20世紀になって北方諸島から侵入してきたと考えられています。最初の流行は、毛皮と野ねずみ駆除とを目的として移入されたキツネに多包条虫感染個体がいたことから、礼文島で発生しました。1937年から1965年までの間に、島民約8,200のうち患者数114名を記録しましたが、1950年代以…