トラウマ – こころのケアシリーズ
トラウマとは、本来持っている個人の力では対処できないような圧倒的な体験をすることによって被る、著しい心理的ストレスのことです。ストレッサーが加わるとストレス反応が生じるのと同様に、トラウマを体験すると何らかのトラウマ反応が起きます。通常のストレスは、外からの刺激、つまりストレッサーがなくなるとストレス反応が消失し元の状態に戻るのに対して、トラウマは、トラウマ体験が過ぎ去った後も、トラウマを体験する以前の状態に戻ることはないのが特徴です。自然災害、事故や犯罪被害、児童虐待や暴力の目撃などがトラウマの原因となります。
トラウマ反応
トラウマを体験すると、情緒・行動・身体・認知面に様々な反応があらわれます。学齢期の子供では、学習面への影響も無視できなくなります。トラウマ反応は、衝撃的な出来事を体験したときに生じる当然の自然な反応であり、その半数以上が、専門的な支援を受けなくても自然に回復することがわかっています。一方、トラウマによる反応が著しい場合や、長期にわたって生活に支障が出る場合があり、心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder, PTSD)のみならず、不安障害や気分障害、行動上の問題など様々な精神健康不調につながることが報告されています。
トラウマの特性
トラウマ体験の重篤さとトラウマ反応は比例し(量 – 反応関係)、人為的な要素が加わるほど、トラウマ反応が大きくなることが報告されています。また、子供の場合は、トラウマ体験時の年齢によってもトラウマ反応の現れ方が異なります。さらに、保護者や周囲の大人の反応や苦悩の状態が、子供のトラウマ反応に大きく影響することが明らかになっています。それだけに、トラウマを体験した子供の支援に際しては、保護者への支援は必要不可欠なものなのです。一方、最近の調査では、トラウマ体験後にPTSD症状を示した子供には、もともと情緒不安定な子供や虐待などの逆境的な家庭環境で育った子供が多いことが明らかになってきました。また、これらの子供たちは、その後更に別のトラウマを体験しやすくなり、トラウマ体験の回数が多くなるほど、将来にわたって精神健康に支障を来すリスクが高まることが報告されています。つまり、もともと教育現場で対応に配慮を要した子供たちは、トラウマ体験に際して更に支援が必要になる可能性が高まるということになります。
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