噛む力を調べて健康診断!
よく噛むと健康になれる、健康だとよく噛めるのです。
「ごはんは 100 回噛みなさい!」「お米が甘く感じるまでよく噛みましょう。」小さな頃、このように言われて育った人もいるのではありませんか?食べ物はよく噛んで食べることが大切、誰もがうなずく当たり前に感じることが、現在健康状態を知るために活用されようとしています。
ごはんを噛むことを咀嚼といいますが、咀嚼には栄養分を吸収しやすくして消化を助けたり、食べ物を飲み込みやすくしたり、あるいは風味や噛みごたえを感じるといったたくさんの重要な役割があることが知られています。逆に、咀嚼がうまくできないと、同じものを食べても必要な栄養を吸収できない、食べることを楽しむということができないと言えます。また、口の健康状態は QOL(Quality of Life:生活の質)に大きく影響することもわかってきています。咀嚼の能力、つまり食べたものをどれくらい細かくすることができるかを測ることは、特に高齢者の健康状態を知り、生活を向上させるためにとても重要だと考えられます。
そこで、簡単に短時間で咀嚼能力を調べる技術が開発されています。これまでは、精度の高いものは測定に1時間程度かかり、短時間でできるものは誤差が大きすぎて評価に使えないなどの問題があり、標準となる方法は決まっていませんでした。今回、大阪大学の研究チームが咀嚼能力の測定法を新たに開発しました。
この研究成果、健康状態を知るために使う以外にも、高齢者の噛む力に合わせた適切な食事の選択など、応用が期待されています。「噛む」という無意識に行っていることだからこそ、自分の状態を正しく調べることができるのかもしれませんね。
今日のごはんはいつもよりしっかり噛んで、味わって食べましょう。
「ほけんの科学では、最先端の研究成果を紹介しています。研究を重ねた一般常識とは異なる内容が含まれる場合があります。」
参考:科学技術振興機構報 第981号
著作:教育応援プロジェクト事務局(株式会社リバネス)
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