第5回 解決志向アプローチをベースにした面接:不登校ケース
身長160cm、体重38kg、超が付くほどの細身の体をさらに小さく丸めるようにして、中学2年生のヒロシが椅子に座っていました。隣には、同じように痩身で疲労感の漂う母が座っていました。不登校を理由に相談にやってきた母子です。初回面接の後、2週間が経過し2回目の面接にやってきました。初回の緊張感こそありませんが、自己主張少なくひっそりとたたずむ雰囲気です。
病気で倒れた父を介護しながら、借金返済のために働き続けてきた母。父が入院し、二人の姉が働き始めたことで、ようやくひと息つく間ができました。家族の余力がない間、声を潜め背を丸め密かに順番が来るのを待っていたかのようなヒロシの不登校に光が当たり始めました。中学1年生の夏休み明けから続いている不登校をなんとかしようという動きが顕在化してきたのです。
家族固有の物語
この数行で示した家族の物語は、相談に来られてお話しをする前までは明確ではありませんでした。前回示した解決志向アプローチのミラクル・クエスチョンやコーピング・クエスチョンなどの質問をすることによって、家族ぐるみの頑張りを労い、今後に向けて応援するという物語が生まれました。ヒロシをはじめ家族や、相談に来るきっかけを作ったベテランの養護教諭など学校の関係者、そして私たち援助者で作る援助システムがうまく機能するためには、皆が団結し共有できるストーリーをもてることが取組の第一歩となります。
第4回 3つの定型質問(ミラクル・クエスチョン、スケーリング・クエスチョン、コーピング・クエスチョン)
ご意見・ご感想・ご質問はコチラ 解決志向アプローチとは、問題点や否定的な側面ではなく、解決に焦点を当てることでそれまでの問題を巡るシステムに変化を与えようという方法です。 …
では、ヒロシ自身は、自分の不登校をどう思っているのでしょう。
まずは、母に聞いてみました。
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