ウエストナイル熱 – 蚊媒介感染症シリーズ
ウエストナイル熱は、蚊が媒介する感染症のひとつです。ヒトのほか、トリやウマなどの動物へも感染することがわかっています。ほとんどの患者さんは数日から一週間以内で回復しますが、脳が感染した重篤な状態がウエストナイル脳炎です。ウエストナイル脳炎は数週間症状が続き、まれに後遺症が残ることもあります。ウエストナイル熱・脳炎は、従来アフリカ、ヨーロッパ、西アジアで患者発生報告がありました。アメリカ大陸での患者発生はありませんでしたが、1999年アメリカ合衆国のニューヨーク市周辺での流行が報告されたことから、大きな注目をあつめるようになりました。現在のところ、日本における国内感染の報告はありません。
ウエストナイル熱の病原体
ウエストナイル熱の病原体は、フラビウイルス科フラビウイルス属のウエストナイルウイルスです。このウイルスは、日本脳炎ウイルスと極めて近い関係にあるウイルスです。日本にも生息するイエカやヤブカなどのウエストナイルウイルス感染蚊が媒介しますが、通常、ヒトからヒトへの直接感染はありません。
ウエストナイル熱の症状
ウエストナイルウイルスに感染しても、ほとんどの人(約80%)は無症状です。感染した人のうち、2割程度がウエストナイル熱になると考えられており、発熱、頭痛、筋肉痛や、時に発疹、リンパ節の腫れが見られますが、症状は軽度です。ウエストナイル脳炎になり重症化すると、激しい頭痛、意識障害、痙攣、筋力低下、麻痺などを示します。症状が出るまでの期間は、2~14日(普通2~6日)です。
ウエストナイル熱の予防
ウエストナイルウイルスに対するワクチンは、今のところありません。特効薬もなく、症状を軽減する治療が中心となります。蚊に刺されないようにすることが予防となり、以下のことが勧められています。
- 露出している皮膚への蚊除け剤の使用
- 戸外では、できる限り長袖、長ズボンを身につける
- 網戸の使用
また蚊は、バケツ、古タイヤなど、ちょっとした水溜りにも卵を産むので、これらの水を空にして蚊の発生を減らすよう心がけましょう。
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