熱帯地域のお天気が熱中症に関わる?
日差しが強くなり、汗ばむ季節になってきました。私たちの体の 60%は水分でできています。しかし、何もせずにゴロゴロ横に寝転んでいても、実は毎日、2.3L もの水分が失われていることをご存知でしょうか?日本の暑い夏ともなれば、こまめな水分補給が欠かせません。
2014 年、夏場に要注意の「熱中症」予防対策の手がかりとなる研究成果が英科学誌サイエンティフィックリポーツに発表されました。海洋研究開発機構アプリケーションラボの森岡研究員らは、1980 ~ 2010 年の厚生労働省人口動態統計と気象観測データを調べ、関東地方の熱中症の死亡者数と気候変動の関係について解析しました。その結果、熱中症で亡くなる人の数は、最高気温が 35°C を超える猛暑日と強く関係していることが分かりました。
また、猛暑日の数は太平洋やインド洋で起こる大規模な気候変動と関わっていることも分かってきました。同じ海域で海面の水温が低かったり、高かったりする状態が続くと、大気の循環が変化して日本を含めた世界中で異常な天候が起こることが知られています。この異常天候の起こった回数が多いと猛暑日の数も多くなる傾向があるようです。
熱中症の死亡者数と気候変動の関連はこれまで、あまり調べられていませんでした。今回の研究から、適切な熱中症予防対策には、ずっと遠くの地域の気候変動を正しく予測する技術も重要になることが新しく分かりました。私たちの快適なくらしは、様々な研究領域が互いに進歩していくことで支えられているのですね。
「ほけんの科学では、最先端の研究成果を紹介しています。研究を重ねた一般常識とは異なる内容が含まれる場合があります。」
参考:サイエンティフィックリポーツ
(Role of climate variability in the heatstroke death rates of Kanto region in Japan)
著作:教育応援プロジェクト事務局(株式会社リバネス)
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