アレルギー疾患 – アレルギーシリーズ
わが国では、国民の2人に1人がアレルギー疾患に罹患していると言われており、その患者数は増加傾向にあります。アレルギー疾患の中には、急激な症状の悪化を繰り返したり、重症化して死に至ったりするものがあり、職場、学校等のあらゆる場面で日常生活に多大な影響を及ぼしています。このような状況の中、総合的なアレルギー疾患対策を推進するために平成26年6月に「アレルギー疾患対策基本法」が制定され、平成27年12月に施行されました。「アレルギー疾患」には、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーなどが含まれています。
アレルギー疾患の原因=免疫反応
体の外には細菌やカビ、ウイルスなどの「敵」がたくさんいます。これらの敵が体の中に入ってくると病気を起こしてしまいますが、人には免疫反応が備わっていて体の中に入ってきた敵を攻撃し、体を守る働きをしています。しかし、本来は無害な相手に対してまで過剰に免疫反応を起こしてしまうことがあります。アレルギー症状を引き起こすアレルゲンで最も有名なのはチリダニです。生きたチリダニの侵入を防ぐ防御反応は必要ですが、特に悪さをしないダニの糞や死骸が体の粘膜に付く、または入ってくると、本来、無害なのにも関わらず、過剰な免疫反応を起こしてしまうことがあります。これがアレルギー反応です。過剰な免疫反応は人のヒフや粘膜に炎症を起こし、さまざまなアレルギー疾患の原因となっています。例えば花粉症の患者では、ほんの少しの花粉、なんの問題もない量の花粉にも過敏に反応して大量の鼻水を出し、くしゃみ、鼻閉を起こしてしまいます。本来、くしゃみ、鼻水、鼻づまりは体にとって目的のある有益な免疫反応で、外から入ってくる体に不要な花粉を排除するための防御反応なのです。
アレルギーマーチ
遺伝的にアレルギーになりやすい素質(アトピー素因)のある人が年齢を経るごとにアレルギー性疾患を次から次へと発症する様子は、「アレルギーマーチ」と呼ばれています。例えば、生まれてすぐにアトピー性皮膚炎や食物アレルギーが発症した子は1歳半から3歳になるころには、かなり良くなっていきます。ところが今度は「ゼーゼー、ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)を伴った呼吸困難が起き、ぜん息が始まります。食物アレルギーがあって、アトピー性皮膚炎がある乳児の半数程度はぜん息を発症するとも言われています。そしてぜん息の子どもも、中学を卒業するころには半分以上で症状が消失するか軽くなります。
ところが今度はアレルギー性鼻炎や結膜炎の症状が表に出てきます。このように、アレルギーの症状が年齢によって変化していく様子は、世界的にも「アレルギーマーチあるいはアトピーマーチ」と表現されています。もちろん全員がそうなるわけではなく、鼻炎だけの人もいるし、アトピー性皮膚炎だけ、ぜん息だけの人もいますが、アレルギーをたくさんもっている人は、多くの場合、こうした経過をたどります。
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