ぎょう虫症 – 寄生虫シリーズ
ぎょう虫症は昭和20年代には国民の7~8割が感染する「国民病」といわれていましたが、最近では感染者数が1%未満にまで激減し、学校で行われていた「ぎょう虫検査」も平成28年から必須項目ではなくなりました。とはいえ寄生虫卵検査の検出率(保卵率)には地域性があり、一定数の陽性者が存在する地域もあるため、引き続きぎょう虫への対応に取り組む必要があります。
ぎょう虫症の病原体
ぎょう虫症の原因となるぎょう虫は、成虫のオスの長さが2~5mm、メスは8~13mmで、虫卵の長径は0.5mm程度の線虫類です。虫卵が飲食物と共に体内に取り込まれ、主に盲腸に寄生して成虫となります。産卵期のメスは、宿主(ヒト)の肛門括約筋が弛緩する睡眠中に肛門へ移動して産卵します。1匹のメスが産卵する卵の数は1万個程度で、ピンのようにとがった尾をささえにして産卵するぎょう虫の活動や、産卵の際にぎょう虫が分泌する粘着性物質によって肛門にかゆみが生じます。強いかゆみのために肛門周囲を無意識下で掻きむしると、手などに付着した虫卵が撒き散らされ、感染源や自己再感染の原因となることがあります。
ぎょう虫卵顕微鏡写真:国立感染症研究所
ぎょう虫症の症状
ヒトの睡眠中にぎょう虫が行う産卵活動に伴って、強いかゆみが発生し、睡眠障害が誘発されることがあります。その結果、日中の眠気や、落ち着きが無く短気になるなどの精神症状があらわれることがあります。また、かゆみのために、ほぼ無意識に肛門周辺を掻いた跡が炎症や細菌感染を起こすことがあります。
ぎょう虫症の治療・予防
ぎょう虫卵は、家や学校など、ヒトが生活するあらゆる場所に運ばれて集団感染の原因となります。特に感染者の兄弟や家族に感染することが多く、注意が必要です。ヒトがぎょう虫に感染しているかどうかの検査は、ぎょう虫検査セロファン(粘着テープ)を用いて虫卵を採取し顕微鏡で虫卵を確認する方法が一般的です。陽性となった場合には、ピランテルパモ酸塩などの駆虫薬を服用します。駆虫が完了するまでは、プールの利用などは避けるべきでしょう。
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