ジアルジア症 – 寄生虫シリーズ

ジアルジア症 - ほけんだよりプラス - 寄生虫シリーズ
ジアルジア症は下痢性疾患で、ヒトとヒトの接触や食品を介した小規模集団感染と、飲料水を介した大規模な集団感染が知られています。ジアルジア症の感染者数は世界中で数億人に達し、世界中のほとんどの国で有病地を抱えています。特に熱帯・亜熱帯に多く、有病率が20%を超える国も少なくありません。わが国では戦後の動乱期には感染率が3〜6%であったとされていますが、衛生環境の改善とともに感染率は次第に低下し、今日の都市部での検出率は0.5%を下回る程度となっています。感染症法施行から2003年12月までに届けられたジアルジア症例数は年間100例前後で、このうち6割以上が海外での感染と推定されています。

ジアルジア症の病原体

ジアルジア症の病原体は、ランブル鞭毛虫(べんもうちゅう)とも呼ばれ、栄養型と嚢子(のうし)があります。栄養型虫体は洋ナシ型で、長径1000分の10〜15ミリメートル程度の大きさです。虫体腹部の前半部は、腸の粘膜などへ吸着するための吸着円盤が発達しています。また、4対の鞭毛を持つなどその形態は特徴的です。嚢子は長径1000分の8〜12ミリメートルで、経口的に摂取された嚢子は胃を通過後、速やかに栄養型となり、十二指腸から小腸上部付近に定着します。通常、ジアルジアの嚢子は外界の環境によく耐え、水中で3カ月以上生存し、感染性を持続したという記録があります。ヒトでの実験では、10〜25個の嚢子の摂取により感染が成立しています。

ランブル鞭毛虫の栄養型虫体と嚢子

ジアルジア症の症状

ジアルジア症の主な臨床症状としては下痢、衰弱感、体重減少、腹痛、悪心や脂肪便などで、下痢が必発です。下痢は非血性で水様 または泥状便です。排便回数は1日数回〜20回以上と様々で、腹痛を伴う例と伴わない例が相半ばし、発熱は多くの場合みられません。感受性は普遍的ですが、成人よりも小児の方が高い感受性を示します。
ジアルジア症の症状

ジアルジア症の治療・予防

ジアルジアの治療には、メトロニダゾールやチニダゾールなどの薬剤が用いられます。これらの薬剤はわが国では抗トリコモナス薬として薬価収載されており、本症に対しては健康保険の適用外です。ジアルジア症は典型的な糞口感染で、嚢子で汚染された食品や飲料水を介して伝播します。嚢子は感染力が強いため、排便後の手洗いの指導が重要です。また、嚢子は水中で数カ月程度は感染力が衰えず、小型であるため、浄水場で完全に除去することは困難とされています。塩素消毒にも抵抗性を示すため、HIV感染者など免疫機能低下者は、日常生活の上で生ものや煮沸消毒されていない水道水の摂取などには注意が必要です。



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