第13回 :解決志向アプローチのはじまり:逆転の発想

第13回 :解決志向アプローチのはじまり:逆転の発想

天橋立「股のぞき」の研究

 先日、日本三景の一つである京都府の北端に位置する「天橋立」に行ってきました。日本海に連なる宮津湾口を内と外に隔てるように伸びた3.6kmに及ぶ砂州の陸地です。砂州の幅は20mから広いところで170m。白砂の連なりと、古来から自然林立する何千本という数の青々とした松の木が織りなすコントラストの美しさは、白砂青松と呼ばれ、散策コースとしても新鮮でとても清々しいです。
 両側を海に囲まれ、ゆるやかに湾曲する3.6kmのこの白砂青松を、北側の高台から見た明媚な景観こそが日本三景の一つとされるゆえんで、「飛龍観」とも称されています。眼下に広がる景色を楽しむと同時に、その気になってみていると、やがて白砂青松が動き始め、巨大龍に姿を変えて降臨、時空を超えたファンタスティックな世界に引き入れてくれます。それを、さらに演出するワザが、かの有名な「股のぞき」です。股のぞきをすることで、天と地が逆さになり、龍が勇壮ダイナミックに飛翔し天へと舞い上がります。
 しばしの幻想から現実に戻り、立ち寄った土産物店に、この股のぞきを研究として行ったという新聞の切り抜き記事が貼られていました。ある大学教授が、知覚心理学研究として「股のぞき効果」を実験で検証したものです。前かがみになって股の間から後ろ方向にものを見ると、天地が逆さまになるのは当然ながら、直立姿勢で見たときより、奥行きが少なくて小さく見えるというものです。
 実際の実験は、計90人の男女に股のぞきをしてもらい、離れた位置に置いた目印(三角形の板)の見かけの大きさや距離を当ててもらうなどでした。結果、股のぞきをすると、直立して見るより目印が小さく、遠くの目印が手前にあるように感じる錯視の効果が見られました。股のぞき効果は、目印が大きく遠くにあるほど目立ち、45m離れた地点に置いた高さ1mの目印は高さ60cm前後に感じるという結果でした。錯視が起きる原因には、前かがみの姿勢が深く関係していることも示されました。
 なんとも遊び心のある面白い実験があるものです。
 もっとも、はるか昔に、この高台から天橋立を見て、最初に「股のぞき」した人は、錯視効果の発見よりも、飛龍の異界を発見したことに驚き歓喜したことでしょう。逆に、この「股のぞき研究」の教授はきっと、天橋立に来て実際に見た「飛龍観」体験をヒントにして実験を思いついたのではないでしょうか。新しい発想やユニークな見方やひらめきは、突如現れるというよりも、それまでの経験や学習が伏線となって生まれるものです。

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