第12回 :解決志向型支援で、効果的な「差」を創る
「この差って何ですか?」
TBS系テレビの「この差って何ですか?」は、世の中のさまざまな事象の中の“差”を楽しく追跡するバラエティ番組で、ご覧になったことのある方も多いかと思います。たとえば、「そうめんとひやむぎ、この差って何?」「同じ年齢なのに老けて見える顔と若く見える顔の差」「じゃんけんが強い人と弱い人の差」など、何気ない日常のテーマを取り上げ、リサーチしたり専門家が解説したりして、「へえ~なるほど!」と思わせてくれます。
たとえば、「じゃんけんに強い人と弱い人の差」に対する番組内の見解は、「差はないが『パー』を出すと勝ちやすくなる。緊張して身構えると『グー』を出す人が多いので勝率が高くなる」だそうです。まあまあ「なるほど」です。興味ある方は番組HPで。
ちなみに、この番組の司会の一人、川田裕美アナウンサーは私が勤務する大学の卒業生であるとのこと。そんな若干の親しみも加わって見ているがそれはさておき、ある日の放送で「兄弟姉妹、生まれ順の差」をテーマにした実験的検証をやっていました。
それをご紹介します。
兄弟姉妹を、長子(最初に生まれた子)、中間子(上と下にきょうだいがいる子)、末っ子(最後に生まれた子)、一人っ子に4分類して、行動の差をみようという企画です。
設定は、若手芸人の仲間どうしの飲食会で、料理を注文する際に、A:いち早く注文するのは? B:自分では注文しないのは? C:いきなりご飯モノを頼むのは? D:オススメのメニューを聞くのは?という行動の違いが、出生順位やきょうだいの有無によって生じるのか否かを実験するものでした。
結果は、Aが長子、Bが末っ子、Cが一人っ子、Dが中間子というように、きれいに別れました。それぞれに出生順位や一人っ子ならではの特徴が出ているように見えます。
さて、皆さんは、いかがでしょうか? ちなみに、私自身は、3人兄弟の中間子であり、みごとDを選択していました。中間子は、周りから「えー!? そんなの注文するの!」と思われたくないし、無難に店員に聞いてから決める、そして聞いたかぎりは店員にも配慮し勧められたメニューを頼む、といった振る舞い方をする、と解説していました。
私自身の振る舞いと、過去の兄弟間の力関係を思い起こしながら、「うーん、なるほど」と頷きながら見ていました。
もちろん、ちょっと別の局面を思いめぐらせば、そうじゃないことだっていっぱいあります。店員に聞かず、これが食べたいと思って注文することもあれば、店員にオススメを聞いてもその通り注文しないこともあります。どんな場合だって、例外はあります。それでも、A~DからDを選択し、それに該当するもっともらしい解説を聞くと、科学的根拠はなくても妙に納得します。
この納得するとか、「なるほど」と思わせるものって、対人援助においてもとても大切です。
バラエティ番組は視聴者に見てもらうために、ただゲラゲラとおもしろいだけでなくさまざまな工夫がなされて作られています。その工夫の仕方が、視聴率の「差」を生み出します。
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