成人ぜんそく 新たな治療法に脚光 気管支温め症状緩和
夜中にひどいせきで目が覚めてしまう、運動をすると息苦しい-。その症状はぜんそくかも。子供の病気と思われがちだが、大人になって突然発症することもあり、小児より成人の患者数が多いという。最近は「成人ぜんそく」に苦しむ患者の新しい治療法も登場し、注目を集めている。(金谷かおり)
ぜんそくは、空気の通り道となる気管支が慢性的な炎症によって狭くなる病気だ。発作を起こすと激しくせき込み、最悪の場合は呼吸困難に陥り、死を招く。
厚生労働省が実施した平成26年の患者調査によると、ぜんそくの総患者数は約120万人。また、20歳以上の成人患者は推計患者数全体の半数以上を占めた。「せきがちっとも治まらないけど毎日忙しいし…」などと治療せずに放っておくのは危険だ。国内では年間1550人(厚労省「平成26年人口動態調査」)がぜんそくで命を落としている。
「成人ぜんそく」で問題なのは完治が難しく、年齢が上がるほど死亡リスクも高まること。日本アレルギー学会によると、ぜんそくによる死者数は減少傾向にあるものの、65歳以上が占める割合は88・5%(23年)と極めて高い。
神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器内科医長の馬場智尚さんによると、小児ぜんそくは成長とともに治ることもある。ところが「成人ぜんそくは何歳でも発症し、要因がはっきりしないことも多い」という。
熱がないのにせきやたんが治まらない▽夜中や朝方にゼーゼーと呼吸音がして息苦しくなり眠れない▽走ったりするとせきが出る-などの症状があれば、早めに医療機関を受診したほうがいい。ぜんそくと診断された場合、吸入ステロイド薬と飲み薬を組み合わせ、発作を起こさないようにコントロールする治療法が一般的だ。
最近では重症患者向けの新しい治療法も広がりつつある。「気管支サーモプラスティ」と呼ばれ、気管支を温めることで症状を緩和する。昨年4月から健康保険の適用にもなった。
ぜんそくの患者は、持続的な炎症により気管支壁の「平滑筋(へいかつきん)」という筋肉が肥大し、気道が狭くなっている。この治療法は、気管支鏡(内視鏡)を口や鼻から気管支内に入れ、先端から電極の付いたカテーテルを出し、高周波電流で気管支の内側を65度で10秒間温める。これにより肥大した平滑筋を正常な状態に近づけ、発作などのつらい症状を緩和する。
横浜市の主婦、小野二三子さん(69)は子供の頃からぜんそくに悩まされてきたが、従来の治療では症状を十分に抑えることができず、主治医から紹介されて昨年「気管支サーモプラスティ」を受けた。「不安もありましたが、治療中は麻酔が効いていたので痛さや熱さは感じませんでした。発作が起きなくなり、今では浅草など都内の散策も楽しめるようになりました」とうれしそうに話す。
この治療法専用の医療機器を扱うメーカー「ボストン・サイエンティフィック ジャパン」(東京都中野区)によると、すでに国内40の医療機関(4月末時点)に導入され「結婚や妊娠を考えている女性の患者で(薬を減らせる)この治療を希望する人もいる」という。
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