インフルエンザ脳症 意味不明な言動に注意
出典:熊本日日新聞 – インフルエンザ脳症 意味不明な言動に注意
インフルエンザの流行のピークが近づいています。インフルエンザにかかった乳幼児の最も重い合併症がインフルエンザ脳症です。後遺症を残すことが多く、死亡する場合もあります。熊本地域医療センター(熊本市中央区)の柳井雅明・小児科部長(日本小児科学会指導医)に解説してもらいました。
- インフルエンザ脳症とはどのような病気ですか。
「インフルエンザの感染に伴い、意識障害を主症状として急激に進行する脳障害です。発熱に加え、けいれん、意識障害、意味不明な言動などが起きます。脳浮腫や急性壊死[えし]など、さまざまなタイプがあります」。
- 発症の仕組みは。
「インフルエンザウイルスに感染すると、ウイルスと闘うために体内の炎症反応を促進する炎症性サイトカインが過剰につくられます。しかし、闘いが激しくなり過ぎると、全身の臓器でアポトーシス(細胞死)が急速に進行し、血管内皮の障害によって血液中の水分や物質が血管外に漏れやすくなります。全身の多臓器不全が起こり、重篤な場合は死亡します。脳が腫れて後遺症が残ることも少なくありません」。
- どれぐらいの患者が発生していますか。
「昨季までの8シーズンでは全国で毎年64~319人の報告がありました。昨季は117人で、10歳未満が60%、5歳未満が39%を占めています。かつては死亡率は約30%に上り、後遺症は25%の子どもに残りました。近年では医療の進歩で、死亡率は約7%まで改善されましたが、後遺症は約15%に残り、依然として重篤な疾患です」。
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