[虫刺されを防ぐ](1)蚊は感染広げる「天敵」
妊婦が感染すると赤ちゃんが頭の小さい「小頭症」になる恐れがあるジカウイルス感染症(ジカ熱)がブラジルなどで流行している。感染者の血を吸った蚊が別の人を刺して感染を広げる。一昨年、東京・代々木公園を訪れた人を中心に感染が確認されたデング熱も蚊に刺されてうつる。マラリアも同じ。神奈川県衛生研究所長の高崎智彦さんは「蚊こそ人類の天敵です」と語る。
これらの病気が流行するのは外国の熱帯地域と考えがちだ。しかし、日本に生息する約120種類の蚊のうち、病気をうつすものとして主に4種類が知られている。デング熱が流行した際は、海外で感染した人が国内で蚊に刺されて広がったとみられる。高崎さんは「世界中で人と物が往来する現在、同様の事例は今後も起こり得る」と警告する。
日本に以前からあり、蚊でうつる感染症に日本脳炎がある。感染しても発症するのは、100~1000人に1人だが、発症した場合の死亡率は20~40%と高く、重い障害を残す。子どもの時の予防接種で流行は抑えられているが、昨年、千葉県で生後11か月の幼児の患者が確認された。日本小児科学会は、過去に患者が発生した地域などでは、ワクチンの接種時期を前倒しするよう勧めている。接種から年を経ると効力が弱まるため、成人でも流行地域を訪れる場合はワクチンを再接種しておきたい。
それぞれの病気とうつす蚊の種類には組み合わせがあり、蚊の種類によって発生場所も決まっている。
高崎さんは「蚊の多い場所や病気の流行地域を把握し、ワクチンの接種や虫よけ剤を使って予防してほしい」と呼びかけている。
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