<東京都> 足立区の小1「生活困難」25%…健康に影響も
子供の健康や貧困の実態を把握するため、東京都足立区が昨年度、区立小の全1年生の世帯を対象に行った調査の結果がまとまり、区が22日に公表した。
世帯年収が300万円未満だったり、生活必需品を所有していなかったりする「生活困難世帯」は約25%に上った。生活困難世帯の子供は虫歯が多いなど、家庭環境が子供の健康に大きく影響することもデータで裏付けられた。
調査は、区立の全小学1年生5355人の家庭を対象にアンケート形式で行った。このうち約8割にあたる4291人の世帯から有効回答があり、国立成育医療研究センターが集計・分析した。
区は、〈1〉世帯年収300万円未満〈2〉5万円以上の貯金や子供の勉強場所、書籍といった生活必需品がない〈3〉水道・ガスなどの支払いが困難だった経験がある――のいずれかが当てはまる世帯を「生活困難世帯」と定義。その結果、全体の4分の1にあたる1047世帯が該当した。このうち半数以上は世帯年収が300万円以上あった。
その上で、生活困難世帯と、そのほかの世帯を比較したところ、親子の関わり方や食生活の状況が密接に関係すると考えられている「虫歯」は、生活困難世帯の子供に多くなる傾向があった。特に、5本以上の虫歯がある割合は、非生活困難世帯の2倍に上った。
予防接種を受けていない割合も非生活困難世帯の2倍で、朝食の摂食状況やテレビ・動画視聴時間にも大きな違いがみられた。
また、たとえ生活困難であっても、保護者が困った時に相談できる相手がいれば、子供にはあまり健康問題があらわれないこともわかった。相談相手がいる生活困難世帯は、相談相手がいない非生活困難世帯よりも、予防接種をする割合が高かった。
このほか、自己肯定感や自己制御能力など「逆境を乗り越える力」を測る調査も行い、児童のうち1割をその力が弱いと分類した。こうした児童を分析したところ、生活困難であることが原因だったのは15%にとどまった。逆境を乗り越える力は、運動や読書習慣によって育まれることが明らかになった。
この日記者会見した近藤弥生区長は、貧困を抜け出す原動力となるこうした力は、生活習慣や家庭環境を改善することで身につけられることが判明したと指摘。その上で「区の力だけでは各世帯の経済状態をすぐに改善することは難しい。生活習慣を変えることで“貧困の連鎖”を軽減できる可能性が示されたことは大きい。こうした要因へ関与する施策にかじを切りたい」と語った。
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Schoowell(スクウェル)事務局 一同