積極的な治療を指摘 夜尿症診療ガイドライン
夜尿症は小学校入学時でも10人に1人は罹患者がいるありふれた疾患――。フェリング・ファーマ(株)と協和発酵キリン(株)の両社は、今年改定された「夜尿症診療ガイドライン」の概要説明するセミナーを都内で開いた。専門医師が同疾患の克服策などについて説明した。
はじめに同会理事長の金子一成関西医科大学小児科学教室主任教授が、「改定ガイドラインでは、最新の学問的エビデンスや具体的な対応法も記載した」と強調。
また「専門医ではない家庭医でも理論的で効率的、安全な治療を行えるようにという願いを込めた」と語った。
子どもの夜尿症の治療に関して「適切な治療で治る病気。ただ、放っておいてはなかなか良くならない」と指摘。学齢期では「自尊心の低下」や「学校宿泊行事への不安」などが子どもの健全発達も阻害すると注意喚起した。
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続いて、中井秀郎自治医科大学小児泌尿器科教授は、同症に悩む子どもや保護者の状況を報告。中井教授は、「日本では患者の未受診や未治療が多く、医療機関での受診患者は約16万人いる。そのうち、治療を受けているのは約4万人で約20分の1しかいない」と課題を示した。
ガイドライン改定を踏まえた治療の在り方を説明した。「アラーム療法」は、就寝前、下着にセンサーを付けて患者が夜尿を知り自覚する治療などが有効だと語った。
夜尿症に悩む児童生徒をもつ教員に向けて「子どもとしっかり話し合い夜尿症をよく理解する必要がある。また宿泊行事の際は、教員と同室で就寝したり、トイレに行くタイミングを促したりする配慮を」とアドバイスをおくった。
同症は、5~6歳を過ぎても月に数回以上おねしょをしてしまう疾患。患者は5歳で約15%、小学校低学年で約10%と減少するが小学校高学年でも約5%は存在する。日本では約78万人いると考えられている。有病率は世界でも似通っており、これはアレルギー疾患に次いで、多い慢性小児疾患である。
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