<熊本県>「笑いヨガ」、被災者に元気 熊本市の西嶋さん、健康体操伝える
「アロ~、ハッハッハッハッハ~」
熊本地震の被災者たちに笑顔を取り戻してもらおうと、「くまもと笑いヨガ倶楽部(くらぶ)」代表の西嶋敏さん(63)=熊本市中央区=が、健康体操「笑いヨガ」を通じて元気を届けている。自由に体を動かしたり、人と触れ合ったりしながら腹の底から笑う。血行がよくなり、ストレス解消にも効果があるという。自らも被災した西嶋さんは「これからどうしよう、という失望や怒り…。そこに大丈夫だよ、という笑いが一つ入るだけで楽になる」と話す。
「楽しいから笑うんじゃなくて、笑っているから楽しくなる。理屈じゃなくてやってみて」
4日、熊本市であった体験会場で西嶋さんが約30人に呼び掛けた。手を差し出し、高齢男性と握手すると、唐突に、顔の筋肉を大いに使って「アッハッハ」と笑いだす。堂々たる笑いっぷりに、男性もつられて笑顔に。あっという間に会場に笑いが広がった。笑いヨガは1995年にインドの医師が考案し、現在は100カ国以上に広がっているという。
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地震後は約1週間避難所で暮らし、その後、各地の炊き出し会場を回って10回以上、笑いヨガをしてきた。被災者から「笑うことを忘れてた」「心がすっきりした」と感謝の言葉をもらった。4月末、車中泊者が集まるパチンコ店駐車場では「こんなときに笑えるか。俺を笑わせてみろ」と挑発してきた20歳前後の若者だって、笑わせてみせた。
西嶋さんは52歳で心臓に大病を患い、生存率20%と言われた手術を経験した。入院先で出会った患者たちが、明るく笑っている姿が強く印象に残った。「ほほ笑みはしても、腹の底から笑ったことなんてほとんどなかったから」と、当時の自分を振り返る。
退院後、ふと見たテレビで「笑いはエクササイズ」と、笑いヨガを紹介する言葉が耳に残り、福岡県で開かれた体験会に参加した。理由もなく笑うこと、自分の感情を外に解放することの心地よさを、初めて知った。2010年にくまもと笑いヨガ倶楽部を発足。地道な活動を続ける中で熊本地震が起きた。「つらい今こそ」と、活動に一層力が入っている。
7日午前10時から、地震で甚大な被害を受けた熊本城の天守閣を見渡せる二の丸公園で笑いヨガを行う。誰でも参加でき、お城復旧のための寄付も募る。
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