おたふくかぜ5年ぶり流行 1000人に1人、難聴になる危険性
子どもがかかりやすいおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)が5年ぶりに流行している。あまり知られていないが、感染すると1000人に1人の割合で難聴になる危険性がある。夏風邪の一種「ヘルパンギーナ」の流行警報も各地で出ており、注意が必要だ。
専門家「予防接種を受けて」
全国の小児科のある医療機関から国立感染症研究所(感染研)に報告されたおたふくかぜの患者数は、前回流行した二〇一〇~一一年にかけてと同水準で推移。七月末までの今年の患者数は八万八千百二十人と、すでに昨年一年間の累積数を超えた。七月二十五~三十一日の一医療機関あたりの患者報告数は一・三一人で、過去五年間の同時期平均より多い。都道府県別では富山二・六二人、長野一・七人、神奈川一・五四人などで平均を上回っている。
おたふくかぜはムンプスウイルスに感染することで発症する。潜伏期間が二~三週間と長く、耳の付け根からあごにかけて耳下腺や顎下(がっか)腺などが腫れて熱が出る。通常は二週間程度で治るが、怖いのは合併症だ。髄膜炎や脳炎を発症したり、千人に一人の割合で難聴になったりする。難聴は片耳だけの場合が多いが、両耳ともなるケースもある。感染研感染症疫学センターの多屋馨子(けいこ)室長は「難聴になることはあまり知られていない。おたふくかぜを侮ってはいけない」と話す。
患者のほとんどは子どもだが、大人がかかると三九度を超える高熱が続くこともあり、精巣炎や卵巣炎を合併する場合もある。
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一九八九年から麻疹(はしか)、おたふくかぜ、風疹の混合(MMR)ワクチンが定期接種で使われていたが、おたふくかぜワクチンの成分による髄膜炎が多く報告されたことから九三年に中止された。現在は任意接種でおたふくかぜ単独ワクチンが使われている。子どもが一歳になった時に一回、就学前に二回目を接種するのが一般的だ。一回接種で約九割に発症を防ぐ抗体ができるとされる。
ワクチン接種の副作用で髄膜炎になるのは数千人に一人ほど。接種して数週間後に発熱や吐き気などの症状があれば受診する。多屋室長は「副反応はゼロではない。しかし、自然感染で難聴や髄膜炎になる頻度はワクチンより高い。正しく理解して予防接種を受けてほしい」と話す。(細川暁子)
夏風邪「ヘルパンギーナ」警報
主に乳幼児が感染する「ヘルパンギーナ」も各地で流行している。感染研によると、7月25~31日の1医療機関あたりの患者報告数は3・85人。埼玉7・12人、栃木6・58人、東京6・17人など、特に関東を中心に警報レベルの「6」を超えている。
ヘルパンギーナはエンテロウイルスに感染することで発症。38度以上の急な発熱があり、のどにできた水ぶくれが破れてただれ痛みを伴う。乳幼児に多く、高熱とのどの痛みで水分摂取量が減るため、脱水症状に注意が必要だ。会話などで飛び散るしぶきや鼻水、便などから口を介して感染する。ワクチンはなく、手洗いなどで予防する。
ヘルパンギーナ – 学校で予防すべき感染症シリーズ
主として咽頭、口腔内粘膜に水疱、潰瘍を形成するのが特徴の熱性疾患です。原因となる病原ウイルスが複数あるため、再発することもあります。春から夏にかけて多く発生し、流行のピークは7 月頃です。夏かぜの代表的な疾患であり、4 歳以下の乳幼児に多く発生します。ヘルパンギーナは、学校保健安全法施行規則でその他の感染症に分類されています。 “A4サイズのイラスト(ログインしてください。)” …
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