<熊本地震> 避難2万6000人 周知不足で母子支援行き届かず
熊本地震発生から半月がたった熊本県の被災地では今も約2万6000人が避難生活を続け、乳児を抱えた母親や妊娠中の女性のケアが大きな課題として浮上している。「子供が泣いたら迷惑になる」「感染症が怖い」などの理由から、避難所を避けて屋外のテントや車で過ごす女性が少なくない。熊本県助産師会が母子専用の避難所を設置するなど改善の動きも出ているが、周知不足などから支援の手は十分に行き渡っていないのが現状だ。【川上珠実】
約1100人が避難生活を送っている益城町のホテル「エミナース」。駐車場に設置された小さなテントの中から赤ちゃんの笑い声が響いた。同町の横田美樹さん(33)が生後8カ月の次女夏芽ちゃんをあやしていた。
横田さん宅は16日未明の本震で傾き、夫と2人の娘、義父母の6人でエミナースに避難した。しかし、ホテル内は高齢者が多く、「子供の泣き声が迷惑になるといけない」と、車中泊を続けている。
駐車場は虫が多く、夏芽ちゃんの頬には蚊に刺された痕が残る。支給のミルクやレトルトの離乳食を、持参したガスコンロで温めて与えているが、ここ2、3日は下痢気味だ。横田さんは「体にストレスがかかっているのかも。早く仮設住宅に入りたい」と嘆く。
県助産師会は17日以降、熊本市と益城町の避難所を巡回して母子の現状を調査しているが、昼間は自宅に戻る人や車で過ごす人もおり、把握がなかなか進まない。坂梨京子会長は「風呂に頻繁に入れないため乳児の皮膚がかぶれたり、母親が精神的に疲弊したりするケースも見られる」と言い、避難の長期化を懸念する。
同会は24日から、熊本市にある民間団体の施設を利用し、乳児と母親のための専用避難所を開設した。定員は20組だが、利用者は30日現在、3歳の長男と生後2カ月の次男を連れた花岡真理子さん(29)ら2家族だけだ。
花岡さんは避難所での感染症が不安で車中泊を始めたが、余震などのせいで、なかなか眠れずにいた。巡回してきた助産師の紹介で専用避難所の存在を知り、身を寄せた。助産師が常駐しているだけでなく、調理室やおもちゃも用意していた。2人の子供の笑顔も増えてきた。花岡さんは「地震を乗り越えたら、きっと何でも乗り越えられる。強い子に育ってほしい」と願う。
母子支援の動きは他にもある。福岡県豊前市はNPOなどと協力し、乳幼児や妊産婦がいる10世帯を市内で受け入れる(最大20日間)。熊本市は市内9カ所の福祉避難所を活用し、妊婦と生後1カ月未満の乳児がいる母親を受け入れている。
熊本県助産師会は平日のほか、大型連休中の5月3〜5日も無料電話相談を実施する(午前10時〜午後4時)。電話番号は096・325・9432へ。
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