鳥インフルエンザ – 学校で予防すべき感染症シリーズ
<病原体がA型インフルエンザウイルスで、その血清亜型がH5N1であるものに限る>
2003年頃から、東アジア、東南アジアを中心に、トリの間でA/H5N1亜型のインフルエンザが発生し、また、トリと濃厚接触をしたヒトへの感染例が増えています。2012年9月18日時点のWHOの報告によると、世界で608名が発症し、その内359名が死亡しており、高い致死率(59%)となっています。将来、インフルエンザの世界的流行(パンデミック)を引き起こす可能性のあるウイルスの一つとして、ヒトからヒトに感染するH5ウイルスの発生が警戒されています。
日本では、京都府、岡山県、島根県、山口県、大分県、宮崎県、千葉県などの養鶏場でトリのA/H5N1亜型感染が確認され、北海道、青森県、秋田県、富山県、熊本県などで野鳥のA/H5N1亜型感染が確認されましたが、当時からこれまで(2012年11月現在 )、ヒトの発症例の報告はありません。
鳥インフルエンザは、学校保健安全法施行規則で第1種の感染症に分類されています。
インフルエンザウイルスには、 A型、B型、C型が存在しますが、通常ヒトに流行を起こすのは、 A型とB型であり、また時に新型ウイルスが出現して、氾世界流行(パンデミック)を引き起こすのは、 A型ウイルスです。というのは、A型ウイルスは、ヒトを含むほ乳類や鳥類に広く分布し、中でも水きん、特にカモが起源と考えられており、自然宿主として現在知られているすべてのウイルスを保有していると考えられています。ヒトの A型インフルエンザウイルスの供給源となっているわけです。
本来鳥インフルエンザウイルスは種の壁があるため、ヒトへは感染しないと考えられていました。この理由は、ヒトインフルエンザウイルスが感染、すなわちヒトの細胞の中に侵入するために用いる受容体と鳥インフルエンザウイルスが鳥に感染する際に用いる受容体は異なったものであり、ヒトは鳥インフルエンザウイルスの受容体をもっていないため、これには感染しないと考えられていたからです。
鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染源は、 H5N1に感染した病鳥や死鳥の排泄物や体液や羽毛です。アヒルなどでは、感染しても無症状の場合もあります。
特に症状を示さない感染しているアヒルと遊んだことによる感染が報告されています。しかしながら、これまでのところ、おそらく数百万人が暴露を受けていることからすれば、ヒトへの感染は極めて少数であり、少なくとも現時点( 2011年1月時点)ではトリからヒトへの感染効率は低いと考えられています。
即ち、現在のヒトへの感染は、動物の疾患が、本来の宿主ではないヒトに、偶発的に感染しているということが言えます。
参考 文部科学省「学校において予防すべき感染症の解説」
国立感染症研究所
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