日本脳炎 – 蚊媒介感染症シリーズ
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、蚊を介して感染します。以前は子どもや高齢者に多くみられた病気です。突然の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもあります。一般に、日本脳炎ウイルスに感染した場合、およそ1000人に1人が日本脳炎を発症し、発症した方の20~40%が亡くなってしまうといわれています。また、生存者の45~70%に精神障害などの後遺症が残ってしまうといわれています。日本では、1966年の2,017人をピークに減少し、1992年以降発生数は毎年10人以下で、そのほとんどは高齢者でした。しかし、1999年以後、10歳代2 例、30歳代・40歳代各1例と比較的若年の患者が発生しています。
日本脳炎の症状
日本脳炎の潜伏期は6 〜16 日間とされています。典型的な症例では、数日間の高い発熱(38〜40℃以上)、頭痛、悪心、嘔吐、眩暈などで発病します。小児では腹痛、下痢を伴うことも多く、続いて急激に、項部硬直、光線過敏、種々の段階の意識障害とともに、筋強直、脳神経症状、不随意運動、振戦、麻痺、病的反射などが現れます。感覚障害は稀で、麻痺は多くは上肢で起こります。脊髄障害や球麻痺症状も報告されている。痙攣は小児で多く、成人では10%以下です
日本脳炎の病原体
日本脳炎は、フラビウイルス科に属する日本脳炎ウイルスに感染しておこります。
日本などの温帯では水田で発生するコガタアカイエカが媒介しますが、熱帯ではその他数種類の蚊が媒介することが知られています。ヒトからヒトへの感染はなく、増幅動物(ブタ)の体内でいったん増えて血液中に出てきたウイルスを蚊が吸血し、その上でヒトを刺した時に感染します。ブタは、特にコガタアカイエカに好まれること、肥育期間が短いために毎年感受性のある個体が多数供給されること、血液中のウイルス量が多いことなどから、最適の増幅動物となっています。
日本脳炎の予防
日本脳炎の予防の中心は蚊の対策と予防接種です。日本脳炎の不活化ワクチンが予防に有効なことはすでに証明されています。実際、近年の日本脳炎確定患者の解析で、ほとんどの日本脳炎患者は予防接種を受けていなかったことが判明しています。ワクチンは第I期として、初年度に1〜2週間間隔で2回、さらに1年後に1回の計3回の注射を行います。第I期は通常3歳で行われますが、その後第Ⅱ期として9〜12歳に、第Ⅲ期として14〜15歳にそれぞれ1回追加接種を受けることになっています。
[adrotate group=”7″]
[adrotate group=”8″]
メンバー限定(登録は無料)のコンテンツとなります。
[adrotate group="7"] [adrotate group="8"]