<福島県>「甲状腺検査」再検討を 福島県小児科医会が独自委員会設置へ
県小児科医会(太神(おおが)和広会長)は3日、郡山市で開いた総会で、東京電力福島第1原発事故の健康影響を調べる県民健康調査のうち、事故発生時18歳以下の県民を対象に県が行っている甲状腺検査の一部見直しを含む再検討が必要として、その在り方を考える同会独自の検討委員会設置を盛り込んだ総会声明を採択した。同会が検査再検討の必要性を示すのは初めて。
原発事故から5年が経過し、主に検査対象者を診療する小児科医が検査の在り方に疑問を投げ掛けた形だ。
同会によると、検査によって、甲状腺がんや「がんの疑い」と診断されたのは172人(3月末現在)。一般的に甲状腺がんは治ることが多いため検査実施による「死亡率の低下」のメリットが生じにくい一方、がんと診断された際の精神面などのデメリットもあり、検査は世界的に推奨されていない。
総会声明では、検査を受けた子どもらや保護者、県民に健康不安などが生じているとし、「検査を受けた人への寄り添った説明や、県民に対する検査結果の分かりやすい説明が必要」とした。
太神会長は「県民の不安をなくすために始まった甲状腺検査だが、検査によって(新たな)不安が生じた可能性がある。検査を受けた人の立場に立って見直す必要がある」と述べた。
検討委は会員で組織し、秋ごろから議論を始める見込み。甲状腺がんと診断された人の意見を吸い上げるなどし、来年の総会までに方向性をまとめたい考え。また、総会声明内容を今後、県などに要望する。
また声明では、子どもたちへの健康影響への対応と将来にわたる健康管理、避難、帰還する子どもたち、その家族への継続的な支援なども盛り込んだ。
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