メガネをかけさせるタイミング…視力低下のサインに注意
子どもの視力が心配な家庭も多いだろう。視力低下のサインに気づき、早めに眼科に相談することが大切だ。適切なメガネを選び、こまめに調節したい。
文部科学省の2015年度の学校保健統計では、裸眼視力が「1.0」未満の幼稚園児の割合は27%、小学生は31%だった。調査開始の1979年度のそれぞれ1.6倍、1.7倍に増加した。小学生では「0.3」未満も8%いた。小型ゲーム機やスマートフォンの影響も指摘される。
子どもは視力が低下しても「見えにくい」などと訴えることは少なく、周囲は気づきにくい。3歳児健診や就学時健診の視力検査でわかる場合も多い。「テレビに近づき過ぎる」「目を細めて遠くを見る」「転びやすい」「集中力が散漫になる」といったサインを、保護者は見逃さないことが大切だ。
「3、4歳になれば視力はかなり測れるようになる。気になるなら、早めに眼科に行ってほしい」と日本小児眼科学会理事で近畿大医学部堺病院教授の日下俊次さんは話す。
視力は物を見ることで発達し、8歳頃までに完成する。特に気をつけたいのは強度の遠視や乱視、左右で視力が大きく異なるといった場合だ。メガネで矯正して、ピントの合った像を網膜に映すようにしないと、発達が途中で止まってしまい、弱視になる可能性があるという。早期の発見が大切だ。
日下さんは、一般的な近視の場合、小学生では黒板の字が見えないようなら、メガネをかけることを勧める。「低年齢の子で、日常生活に支障がない程度の軽い近視なら、そうあわてる必要はないでしょう」
メガネを作る際は、眼科できちんと検査し、レンズの処方箋を書いてもらう。メガネ店などの簡易な検査では、子どもの場合、遠視が見抜けなかったり、疲れ目の原因になる過矯正になったりする場合があるからだ。
子ども用のメガネは、デザインも豊富になっている。
子どもメガネの専門店「アイフィーあいがん」(大阪市)には、ピンクや水色のかわいらしいものから、黒や紺色の細身のタイプまで約500本がそろう。
レンズは軽くて割れにくいプラスチックが基本だ。形状記憶素材のフレームもあり、多少の力を加えても元に戻る。最近ではアトピーなど肌の弱い子どものため、耳にかける部分に付けるクッションも市販されている。
重要なのは、フィッティング。鼻あての幅やツルの長さが合っていないと、ずれたり傾いたりする。また、年齢が上がると、大きさなどが合わなくなるので、こまめな調整が大切だ。店長の寺地洋子さんは、「かけ始めて1か月後に1度、その後は夏休みや冬休みなど長期休暇ごとにチェックしてほしい」と話している。
子どものメガネについてのポイント
・近視の場合、小学生なら黒板の文字が見えるか、低年齢の子どもでは「転びやすい」など生活上の不便が生じているかで必要性を判断する
・強度の遠視や左右で見え方に大きな差がある場合などは、弱視になる恐れがある。メガネをかけることが治療になる
・メガネを嫌がる子どもには、保護者が必要性をきちんと伝える。幼稚園や小学校で同級生らの反応を気にしているようなら、事前に担任の先生に協力を頼んでおく
・コンタクトは清潔に扱わないと目の感染症を起こす危険がある。管理のできる中学生以上が望ましい
(日下さんの話を基に作成)
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