<北海道大学> ジカウイルスの輸入リスクと国内伝播リスクの予測統計モデル開発
ポイント
- 各国のジカ熱の輸入リスクと国内伝播のリスクを推定する新しい統計モデルを開発し、推定結果を発表した。ほとんどの国で、時間が経過するにつれてジカ熱を輸入する可能性が十分にあると予測された。
- 予測モデルを比較することにより、これまでにデングウイルスやチクングニアウイルスの国内伝播が認められた国においてジカ熱の国内伝播リスクが高いことが明らかになった。提案したモデルはジカ熱の国際的流行拡大に関するリスクアセスメントを実施する上で重要な科学的根拠を与える。
- 日本において2016年中にジカ熱の国内伝播を認めるリスクは16.6%と推定された。同リスクはメキシコで48.8%、台湾で36.7%など、デング熱やチクングニア熱の流行を認めた熱帯・亜熱帯地域でより高く、一方、温帯では英国で6.7%、オランダで5.3%など日本よりも低い国もあった。
ジカ熱流行の国際的な拡大が社会的注目を集めています。ブラジルにおける大規模な流行にともない、相当数の小頭症が報告され、妊娠中のジカウイルス感染と強い因果関係が示唆されたため、この感染症が注目されるに至りました。北海道大学の西浦 博 教授の研究チームは、ジカ熱の輸入リスクと各国での国内伝播のリスクを推定する新しい統計モデルを開発し、国固有のジカ熱の輸入確率と国内伝播確率の2つの推定を実施しました。その結果、国内伝播リスクは過去にデングウイルスやチクングニアウイルス注1)の流行が認められた国において高くなる傾向があると判明しました。日本もデング熱の小規模流行が認められ、2016年中にジカ熱の国内伝播を認めるリスクは16.6%と推定されました。提案したモデルはジカ熱の国際的流行拡大に関するリスクアセスメント注2)を実施する上で重要な科学的根拠を与えます。国内伝播リスクの高い国は媒介蚊の制御が必要であり、一方で、国内伝播のリスクが低い国は過度の社会的不安を煽る必要はなく、渡航に伴う妊婦の感染を避けることに注力すると良いものと示唆されます。これらの結果は英国時間4月5日付の英国科学誌「PeerJ」に発表されます。
本研究の一部は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業(CREST) 「科学的発見・社会的課題解決に向けた各分野のビッグデータ利活用推進のための次世代アプリケーション技術の創出・高度化」(研究総括:北海道大学 田中 譲)における研究課題「大規模生物情報を活用したパンデミックの予兆、予測と流行対策策定」(研究代表者:西浦 博)の一環として行われました。
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Schoowell(スクウェル)事務局 一同