被爆者健康手帳 申請なお303件 昨夏以降1年間 「差別」に長年ためらい

広島、長崎で原爆に遭ったとして被爆者健康手帳の交付を求める申請が、被爆から70年となった昨年8月以降の1年間で303件に上ることが、47都道府県と広島、長崎両市への取材で分かった。いまだに多くの申請がある背景には、被爆者が自身や子供の結婚などでの差別を恐れ長年申請をためらってきたことや、高齢になり医療援護の必要性が強まってきたことなどがあるとみられる。

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毎日新聞

被爆者健康手帳 申請なお303件 昨夏以降1年間 「差別」に長年ためらい

 申請は、21自治体にあり、うち広島市134件、広島県64件、長崎市37件、長崎県11件と被爆地が8割を占めた。他に多かったのは、大阪府12件、福岡県9件、東京都7件など。
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 厚生労働省によると、申請数は2013年度719件、14年度582件、15年度436件−−と減少しているが、被爆者の平均年齢が80歳を超えた今もなお、申請が続いている。広島市の担当者は「差別があってすぐに申請できなかったという話や、体が弱ってきたので申請したという声をよく聞く」と説明。福岡県の担当者も「家族や子供への影響を考えて踏み切れなかった人や、被爆事実を証明する証人が探し出せないなどの理由であきらめていた人もいる」と話す。
 一方、審査結果が出たうち交付は68件、却下は100件、審査中が129件で、却下が交付を大きく上回った。国は被爆当時の罹災(りさい)証明書や第三者2人以上の証明などを申請者に求めているが、高齢化した被爆者が自力で探し出すのはほぼ不可能な状態になっている。

 長崎市は申請37件のうち6割超の25件を却下し、交付は1件にとどまる。同市の担当者は「年数がたち、証拠や第三者の証明が見つからないこともあり、なかなか取得につながっていない」と説明。広島県の担当者も「できるだけ客観的なもので被爆事実を証明してもらわなければならず、非常に苦労している」と語った。【樋口岳大、青木絵美】

被爆者健康手帳の申請件数と審査結果

自治体 申請 交付 却下 審査中 取り下げなど
広島県 64 29 27
広島市 134 40 40 51
長崎県 11
長崎市 37 25 10
全国 303 68 100 129

   


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