クリプトスポリジウム症 – 寄生虫シリーズ

クリプトスポリジウム症 - ほけんだよりプラス - 寄生虫シリーズ
クリプトスポリジウムは、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管寄生原虫で、1976年にヒトでの感染がはじめて報告されました。英米両国では、1980年代中頃から水系汚染に伴う集団発生が報告され、1993年には米国ウイスコンシン州ミルウォーキー市で40万人を超える住民が本症に罹患する未曾有の集団感染が起こっています。わが国では、1994年に神奈川県平塚市の雑居ビルで460人あまりの患者が発生しました。また、1996年には埼玉県入間郡越生町で町営水道水を汚染源とする集団感染が発生し、8,800人におよぶ町民が被害を被りました。したがって、本症に関しては散発例よりも、むしろ水道水や食品を介した集団発生が重要となっています。

水道の汚染

クリプトスポリジウム症の病原体

クリプトスポリジウム症の病原体
クリプトスポリジウム感染マウス腸管の走査電子顕微鏡像
クリプトスポリジウムは胞子虫類に属する原虫で、DNA解析によってヒト型、ウシ型、トリ型、その他の遺伝子多型を示すことが明らかになっています。クリプトスポリジウムは宿主の腸管上皮細胞に侵入して寄生体胞を形成して増殖します。また、糞便とともに外界へ排泄されて、水や食品に混じって新たな感染を引き起こします。

クリプトスポリジウム症の症状

下痢
免疫の正常な人が罹患した場合の臨床症状は、下痢(主に水様下痢)、腹痛、倦怠感、食欲低下、悪心などで、軽度の発熱を伴う例もあります。潜伏期間は3〜10日で、大多数の患者は9日以内に発症しています。下痢は1日数回程度から20回以上の激しいものまで多様で、数日から2〜3週間持続した後、自然治癒します。集団下痢症が発生した際に、通常の病原体が検出されない場合には、本症の可能性を念頭において検査を進める必要があります。

クリプトスポリジウム症の治療・予防

クリプトスポリジウム症の治療としては、下痢の程度が軽度である場合には、非特異的治療法である食餌制限、水・電解質の摂取(いわゆるスポーツ飲料水)が行われ、鎮痙剤、激しい下痢症例では止瀉剤が用いられています。クリプトスポリジウムの感染力は、水中で数カ月程度維持されるものと考えられています。また、通常の浄水処理(凝集、沈殿、濾過)で完全に除去することは困難で、塩素消毒にも抵抗性であることから、水道水汚染には特に注意が必要です。免疫機能低下患者では、生水の摂取などは避けるべきでしょう。近年では水泳プールを介した集団感染も注目されています。



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