コロモジラミ症 – 寄生虫シリーズ
ヒトに寄生するシラミには、頭部に寄生するアタマジラミ、衣類に寄生するコロモジラミ、主として陰毛に寄生するケジラミの3種があります。シラミの種類と感染集団は特異性があり、アタマジラミ症は12才以下の児童、コロモジラミ症は衣類の取替えなど保清行動が不自由な集団、ケジラミ症は性行動が活発な年齢層を中心に発生が見られます。コロモジラミは衣服を着替えたり、入浴する習慣が無い山岳地方に生活する人々、民族紛争や大規模な自然災害に遭遇して難民生活を余儀なくされている人々、 囚人、ホームレスなど、下着や衣服を取り替えることが困難な生活を強いられている人々に高率に寄生が認められます。先進諸国のコロモジラミ症患者数はアタマジラミと比べて非常に少なくなっていますが、路上生活者やアルコール・薬物依存者などの特定集団に再興が認められています。日本ではホームレスの他独居老人からのコロモジラミ寄生例も報告されており、高齢化社会における老人福祉の現状に問題を投げかけています。
コロモジラミ症の病原体
コロモジラミはアタマジラミより一回り大きい。両者を形態で区別することはできません。コロモジラミは数時間ごとに吸血を繰り返していますが、吸血時以外は下着等に付着して生活しています。
コロモジラミ症の症状
シラミ症の主要症状は皮膚の激しい掻痒感です。1〜2匹の幼虫または成虫が寄生し始めた段階では、ほとんど掻痒感を伴いませんが、3〜4週間経過して個体数が増加する頃に激しい痒みに襲われます。あまりの痒さに皮膚を掻破し、その傷から細菌(ブドウ球菌など)の二次感染が生じると、発熱、疼痛などを訴えることもあります。またコロモジラミは発しんチフス、回帰熱、塹壕熱の病原体を媒介します。発しんチフスや回帰熱はアフリカ諸国を中心に断続的に大流行し、塹壕熱は先進国のホームレスやアルコール・薬物依存患者の間で確認され始めています。
コロモジラミ症の予防
コロモジラミの感染経路は、シラミが付着した衣類等の共有です。卵、幼虫および成虫が付着した下着、衣服は全て破棄します。 必要があれば、オートクレーブ(高圧滅菌器)で処理後、一般ゴミとして捨てます。患者はシャワー等で全身の汚れを洗い流し、シラミの寄生していない衣類に着替えさせます。
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