小児の気管支喘息(ぜんそく)2 – アレルギーシリーズ
気管支喘息の治療は、急性期、即ち呼吸困難発作に対する治療と、背景にある慢性炎症に対する治療に分けられます。気管支喘息の治療においては、この慢性炎症に対する治療が重要で、長期にわたって継続しなければなりません。呼吸困難発作に対する治療は、気管支拡張薬(ベータ刺激薬)の吸入が主体となりますが、発作強度が強い場合(重症発作)に対しては全身的なステロイドの投与が必要となります。慢性炎症に対しては、小児でも吸入ステロイドの使用が第一選択になりますが、軽症の場合は、アレルギー反応の場で問題となるロイコトリエンという物質の作用を抑制する薬が多くを用いられます。
急性発作治療薬
急性発作に対する治療は、気管支拡張薬の使用が中心です。効果の発現が短時間であるベータ刺激薬の吸入が主となります。吸入方法としては、ネブライザー(モーター吸入)とpMDI(加圧式定量噴霧吸入器)の二通りあります。ネブライザーは薬液を霧化して噴霧する器械ですが、pMDIは、薬物の噴射に合わせて息を吸わなければならないため、子どもには困難です。このため、吸入補助器を用いて吸入する必要があります。
ベータ刺激薬以外の急性発作治療薬は、乳幼児に対してはあまり用いられていません。
長期管理薬
- ステロイド吸入薬
炎症を強力に抑える効果があります。気管支喘息は気道の炎症が主病態なので、ステロイド吸入薬がその中心となります。ステロイド薬は注射や内服で全身に投与すると、副作用が問題になることがありますが、ステロイド吸入薬は気道に直接投与することができるため、投与量は少量ですみ、安全かつ効果的に使用できます。 - ロイコトリエン受容体拮抗薬
ロイコトリエンは強力な気管支収縮物質です。ロイコトリエン受容体拮抗薬は、ロイコトリエンの気管支収縮作用を抑えます。 - DSCG(disodium cromoglycate)吸入薬
DSCGはクロモグリク酸ナトリウムという薬物で、アレルギー反応の予防に用いられます。主に液剤をネブライザーによる吸入で用いられます。 - ベータ刺激薬
ベータ刺激薬には、気管支拡張作用があります。近年、長時間作用が持続するものが現れ、長期管理薬としての役割もあるとされています。特にわが国で開発された貼付薬が好んで用いられます。 - その他
テオフィリン徐放製剤や漢方製剤、去痰薬を併用する場合があります。テオフィリン徐放製剤は、けいれんを誘発する可能性があるので、これまでに熱性けいれんを起こしたことのある場合や医師からてんかんの診断を受けている場合などには用いません。また、明らかな素因がなくても、発熱時には原則として中断するなどの注意が必要です。
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