経口補水液 手作りで 水分と電解質 効果的に補給
本格的な夏が近づき、熊本地震の避難所でも暑さ対策が始まっている。特に高齢者や乳幼児にとって水分補給は体調管理や熱中症予防に欠かせない。効率的な水分補給について調べた
避難所の暑さ対策、水分補給に関して、熊本県健康危機管理課は「各保健所を通じて各市町村に熱中症などへの注意を呼び掛け、避難所ではちらしを張るなどして注意喚起している」。熊本市は各避難所にペットボトルの水やお茶、スポーツ飲料を準備して希望者に配布しているという。
「日常生活や少量の汗をかいた程度ならば、水や麦茶で十分」と大阪府の歯科医、豊田裕章さん(59)は指摘する。一度にたくさん飲むのではなく、こまめに取ることが大切。利尿作用があるカフェイン入りの飲料は避けた方がいいという。
農業大学校で非常勤講師を務めるなど長年、食育と健康問題に取り組む豊田さんは「大量の汗をかいたときは水分だけでなく電解質も失われるため、対応に注意が必要」と呼び掛ける。ナトリウム、カリウムなどの電解質は細胞の浸透圧を調整するなど体内で重要な役割を担い、補給が必要となる。
ふらつきや立ちくらみなど脱水症状が疑われるときは、電解質も含めて効率の良い吸水が重要だ。水を塩分や糖分と一緒に飲むと吸水効率がアップすることが近年の研究で分かっている。関西医科大の金子一成教授(小児科)は「摂取する塩分と糖分のバランスが重要」と指摘する。乳幼児の下痢や嘔吐(おうと)の療法研究の中で、腸管での吸水効率をラットの実験で比較した結果、市販の経口補水液は高い数値を示したが、蒸留水やスポーツ飲料にはそれほどの効果はないことを確認した。
スポーツ飲料は糖分が多いため、日常の水分補給用に飲むことに、カロリー過多や虫歯の原因になるとして警鐘を鳴らす専門家もいる。豊田さんによると、飲み過ぎると急性高血糖状態になる恐れもあり、逆に喉の渇きを覚えることにもなるという。
ただ、経口補水液はまとめ買いなどで安く購入しても500ミリリットルで約200円。そこで、豊田さんは食塩とブドウ糖で簡単に作れる補水液を薦めている。500ミリリットルが30円程度で作れ、避難所などで作り置きして
誰でも簡単に飲めるようにしておけば安心だ。
500ミリリットルのペットボトルならば食塩1・5グラム、ブドウ糖10グラムを入れて混ぜるだけ。キャップすり切り1杯の食塩は約7グラムなので参考になる。下痢など脱水症状が激しいときは、カリウム補給のためレモンやグレープフルーツの果汁も入れる。ブドウ糖はインターネット通販や一部のドラッグストアなどで購入できる。
飲むときはゆっくりと。急いで飲むと血液が薄まり、水分が尿として排出されるため、例えば500ミリリットルを30分ぐらいかけて飲む。
乳幼児の水分補給も普段は水や麦茶を用い、熱中症になった場合などには経口補水液を飲ませるとよい。金子教授によると、幼児は1日300~600ミリリットル、乳児は体重1キロ当たり同30~50ミリリットルが目安になる。
スポーツ飲料と経口補水液の両方を商品として扱う大塚製薬広報部は「脱水症状があるときは、病気の人用の食品である経口補水液を活用してほしい」と勧める。
【ワードBOX】経口補水液
脱水症状の改善や治療を目的に水分と電解質を口から補給するため、食塩とブドウ糖を混ぜた飲料。経口補水療法は世界保健機関(WHO)が考案し、途上国の急性下痢症による乳幼児死亡者数を激減させた。
現在、家庭でも安全に脱水症状の進行を予防できる療法として利用範囲は広がっている。製薬会社などが商品化し、ドラッグストアなどで販売している。
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Schoowell(スクウェル)事務局 一同