<熊本地震> 避難過酷 心身重く 空腹、眠れず、感染症不安…
熊本地震発生から5日目を迎えた18日、被災地では依然として9万人を超える人が避難所に身を寄せた。着の身着のまま駆け込んだ住民たちはプライバシーも、生活情報もない体育館や公民館で寝起きを強いられ、ストレスにさいなまれている。
熊本県南阿蘇村の南阿蘇中体育館では約600人が暮らす。被災者は配給された毛布を敷いて生活している。慌ただしく避難してきた住民の多くは寝間着姿。1人当たりのスペースは毛布1枚分ほどで仕切り板もなく、プライバシーは「ゼロ」だ。体育館のトイレにはおむつを替えるスペースはない。2歳児を含む4人の子どもを抱える松岡亜由美さん(39)は「おむつを替える時、周囲ににおいが広がらないか気を使う。子どもがぐずったときも迷惑をかける」と気をもむ。自身が着替える場所もない。多くの避難所が大部屋で仕切りも十分でないため、「眠れない」といった訴えが相次ぐ。
歯も磨けない
自衛隊による「仮設風呂」ができた避難所もあるが、同体育館は風呂がない。20代の会社員女性は「家に帰れず、一度も風呂に入ってないし、歯も磨けない。これから暑くなったら、どうなるのか」と嘆く。数百人が避難する同県阿蘇市の農村環境改善センター。水不足のため、毎回トイレの水を流すことができず、職員がまとめて流している。トイレが詰まることも珍しくない。40代の女性は「こんな状況では『頑張れ』と励まされても、頑張れない」とうなだれる。同センターでは17日に避難者の女性がトイレで倒れているのが見つかり、死亡が確認された。震災関連死の可能性があるという。80代女性は「ストレスがたまりすぎて自分もどうなるか…。人ごとではない」とため息をついた。
熊本市は18日、2カ所の避難所で体調不良を訴えた2人からノロウイルスを検出したと発表した。このうち同市西区の千原台高に2人の子どもと避難している主婦(40)は「避難生活も長引きそうなので、ウエットティッシュなどで十分消毒しようと思う」と話す。一時2千人を超えた同市中央区の江南中で治療補助に当たる看護学校の男子生徒(19)は「消毒用のティッシュや嘔吐(おうと)物を処理する漂白剤が足りない。ここではノロウイルスは発生していないが、集団生活で感染症が怖い」と懸念した。
ストレス増す
避難所などでは食料不足の解消まではほど遠い。熊本市西区の城西小体育館では自衛隊が炊き出しを行っているが、18日昼も500個のおにぎりを作るのが精いっぱい。同体育館を利用する被災者数百人には足りず、30代の女性は「空腹でストレスがたまります。周りのみんなもだいぶ疲れてきている」と話した。
電気と情報を
大半の世帯で停電が続く南阿蘇村。テレビや携帯電話が使えず、情報不足が深刻化しているため、同村久木野庁舎は住民が携帯電話を充電できるよう、ロビーに発電機を設けている。充電のため同庁舎に毎日通う同村の中村厚子さん(68)は「自宅ではテレビも見られず、早く電気と情報が欲しい」と訴えた。南阿蘇中体育館にはテレビもなく、80代の男性は「自宅に帰ろうにも、どの道が土砂で埋まっているのか分からない。情報がないのがつらい」とつぶやいた。
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Schoowell(スクウェル)事務局 一同