「ジカ熱」の特徴や予防対策は 中南米など流行地域渡航に注意
8月5日(現地時間)に五輪が開幕するブラジルをはじめ、海外へ行く機会が増える夏に向けて注意が必要なのが、蚊が媒介する感染症「ジカ熱」への対策だ。妊婦が感染すると、小頭症の赤ちゃんが生まれる原因となることから世界保健機関(WHO)は妊婦に中南米やアジアの流行地域への渡航自粛を勧告している。岡山県環境保健センター(岡山市南区内尾)の岸本寿男所長(62)にジカ熱の特徴や予防対策を聞いた。
国内の感染者の状況は。
2013年以降、男女10人の患者が確認されている。ブラジルをはじめとした中南米地域で感染したケースが多いが、流行地域はフィリピンやベトナムなどアジアにも広がっており、世界的な感染リスクは高まっている。国内で感染した例は今のところない。
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どんな症状が現れるのか。
蚊に刺されて数日後に軽度の発熱、発疹、結膜炎、関節痛など風邪に似た症状が起こる。風邪と似ているので気付かないことも多い。重症化することはほとんどないが、妊婦が感染すると、胎児に影響が出る恐れがある。
感染経路は。
やぶ蚊の一種・ネッタイシマカとヒトスジシマカがウイルスを媒介することが確認されている。ヒトスジシマカは国内で秋田、岩手県以南のほとんどの地域に生息しており、海外で感染した人が国内で刺されて別の人に広がることもあり得る。蚊が媒介しなくても性交渉で感染するケースもあり、注意が必要だろう。
流行地域に渡航する際の注意点は。
五輪が開催されるリオデジャネイロは今、蚊が繁殖しにくい冬場だが、ブラジルは国土が広く、地域によって気候が違う。蚊が多く生息するアマゾンや赤道に近い北部に行く際は注意が必要だ。虫よけ剤を使うなど、なるべく蚊に刺されないようにしてほしい。帰国後、パートナーに感染させないよう、厚生労働省は最低8週間性交渉を控えるか、コンドームを使用することも呼び掛けている。
国内で求められる対策は。
ジカ熱に限らず、デング熱など蚊が媒介する感染症は多く、蚊の発生自体を減らしていかなくてはならない。雨水がたまりやすい古タイヤや植木鉢、雨水升など蚊の幼虫が生まれやすい環境をなくすことが重要だ。日本では1942(昭和17)年に東南アジアから帰国した船員によってデング熱が持ち込まれ、患者が3年間で17万人に達した例がある。当時は防火水槽などが蚊の発生源として流行拡大に影響したとされている。
県でも対策を進めている。
県は2015年度から国立感染症研究所(東京)と共同で、岡山市の県総合グラウンドや岡山空港、後楽園など人が集まりやすい場所で蚊の生息調査を進めており、効果的な防除対策も検討する方針だ。打ち出された対策などを参考に、各地域で蚊の防除に取り組んでもらい、新たな感染サイクルを起こさないようにしたい。
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