<東京都>はしかなどの感染症防止へ ワクチン接種の大切さ訴え
関西空港で働く従業員などで「はしか」の感染が相次ぐなか、ワクチン接種により感染症を防ごうと活動している団体が都内で集会を開き、子どもたちが感染するリスクを減らすワクチン接種の大切さを訴えました。
都内で集会を開いたのは、はしかや風疹などワクチンで防げる病気によって、子どもに障害がでるなどした親やその家族で作るグループなど15の団体で、およそ60人が参加しました。
ワクチンで防げる感染症のうち、はしかについては、関西空港で働く従業員などに患者が相次いでいるほか、千葉県内でも病院の待合室にいた人など19人の患者が報告されていて、患者の増加が懸念されています。
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集会には、予防接種を受ける前の赤ちゃんのころに感染したはしかのウイルスが原因で、小学2年生のときにSSPE=亜急性硬化性全脳炎という脳炎を発症した辻海人さん(18)と両親が参加しました。母親の洋子さんは「社会全体で子どもたちを守るために、子どもだけでなく免疫のない大人もワクチンを接種してほしい」と訴えました。
このあと、団体のメンバーらは厚生労働省を訪れ、塩崎厚生労働大臣に要望書を提出しました。この中では、はしかの感染拡大を防ぐため、子どもだけでなく、大人の接種率向上に向けた対策の強化などを求めました。
SSPEは感染後数年から10年ほどで発症
辻海人さん(18)は、サッカーが大好きだった小学校2年生の時、はしかが原因で、SSPE=亜急性硬化性全脳炎と呼ばれる脳炎を発症しました。この病気は、はしかのウイルスに感染して数年から10年ほどたってから運動障害などが進行する難病です。
海人さんが病院の待合室ではしかにかかったのは、1歳の定期接種を受ける前の生後11か月のときでした。ことし報告されているはしかの患者の中には、0歳の乳児も含まれています。母親の洋子さんは「はしかはワクチンで防げる病気です。また、ワクチンは自分を守るだけでなく、人にうつさないために大切です。ぜひ子どもだけでなく、大人も予防接種をして感染を広げないようにしてほしい」と話しています。
千葉などで感染広がる
多くの人たちが移動する夏休み以降、はしかの感染の広がりが懸念されています。関西空港では7日までに、空港施設の従業員や利用客など39人の感染が確認されています。このうちの1人は、千葉市の幕張メッセのコンサート会場を訪れていて、これまでに同じ会場にいた別の2人の発症が確認されています。
一方、千葉県内では7月下旬から松戸市で病院の待合室にいた人やその家族などの間で感染が広がり、これまでに患者13人が報告されています。さらに、今月4日までの1週間で船橋市、市川市などの医療機関から、特定の場所への出入りなどの接点が確認されていない新たな患者が報告されるなど、千葉県内でのことしのはしかの患者は19人に上っています。
千葉県の疾病対策課では「はしかは非常に感染力が強く、ワクチンの接種を受けていない人は、早めに受けてほしい」と呼びかけています。