自閉症 発症メカニズム解明 九大チーム 神経変異の原因分かる
自閉症の発症メカニズムを突き止めたと、九州大生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授(分子生物学)らの研究グループが7日付の英科学誌ネイチャーに発表した。自閉症の原因遺伝子がタンパク質に作用し、神経発達の遅延を引き起こす過程を解明。症状を抑制する治療や薬の開発につながると期待される。
自閉症は先天性の脳の発達障害で、他人との意思疎通が苦手だったり、物事を計画的に進められなかったりすることがある。100人に1人が発症し、文部科学省によると、自閉症と診断された全国の通常学級に通う公立の小中学生は約1万4千人いるとされる。
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これまでの研究では、患者の多くが半欠損した遺伝子「CHD8」を持ち、何らかの作用で自閉症につながることは分かっていた。
中山教授らは、CHD8が半欠損したマウスを人工的につくり、自閉症を発症させて検証。その結果、この遺伝子が神経の発達を制御するタンパク質「REST」を異常に活性化させ、神経発達の遅延を引き起こすことが分かった。
自閉症は遺伝子に原因があるため、現在の医療では根本的な治療はできないといわれている。中山教授は「タンパク質の働きを抑制して症状を改善させる治療法や薬の開発につなげていきたい」としている。
金沢大子どものこころの発達研究センターの東田陽博特任教授(神経化学)は「自閉症には他にも原因遺伝子があり、全てに当てはまるわけではないが、タンパク質への作用が分かったのは画期的」と話している。
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