乳がん患者にレシピ本 体調不良や味覚変調時の参考に
若い年代がかかる可能性がある乳がんは、治療後の生活支援も重要だ。がん患者を支援するNPO法人キャンサーリボンズ(東京)は、調理の負担を軽減したレシピ集を作り本にまとめた。NPO関係者は「おいしく食べることは生きること」と食の大切さを呼び掛けている。 (寺本康弘)
「がんの怖さだけじゃなく、一家が崩れてしまうんじゃないかという心配が大きかった」。キャンサーリボンズのメンバーの栗橋登志(とし)さん(56)=川崎市宮前区=は二〇〇八年八月、住民検診で左胸にがんが見つかった。大学生の息子と中学生の娘の母として家事をしつつ、実家の父の介護も手伝っていた。自分が何もできなくなったら、家族はどうなってしまうのか不安が募った。手術後の抗がん剤治療では、副作用のため体はだるく、味覚もなくなった。食事のメニューは考えられず、買い物に行くのも負担だったため、インターネットで購入したパンやレトルト食品、友人に作ってもらった食事でしのいだ。「家族に迷惑をかけ、自分は必要がない人間なのでは」と落ち込んだ。再発への不安もあり、自分の食事は野菜中心で低カロリーになった。その一方で「子どもたちには栄養たっぷりの食事を食べさせたい」。「家族なら同じものを食べたいけど、それができないのも悲しかった」と話す。
キャンサーリボンズが一四年に乳がん患者二百二十九人に行ったアンケートによると、「味の濃いものが食べたくなり、作った料理の味が濃すぎると家族に言われた」「手のしびれで米がとげなくなった」などの苦労があった。この意見を踏まえ、NPOメンバーの医師や管理栄養士、料理研究家の村岡奈弥(なや)さんらが六十品のレシピを考案し、「乳がんの人のための日常レシピ」(ブックエンド発行、千七百二十八円)として出版した。また一部を、料理レシピ検索サイト「クックパッド」に掲載した。レシピの特長は、疲れないよう火を使う時間を短く、手順を少なくした。患者と家族が同じ食事を楽しめるようアレンジのしやすさや体調が良いときに作り置きできることも配慮されている。
栗橋さんは「体が大変な時には、料理を考えられない。簡単なレシピはありがたい」。キャンサーリボンズの岡山慶子副理事長は「日本で、乳がん患者が食事のことを相談できる体制は十分ではない。本がその一助となれば」と話している。
◆おすすめ料理
<カブのスープ> 米と水と一緒に煮てミキサーにかける。カブは大根より早く火が通る。おかゆのような感覚で食べられ、弱った胃にもやさしい。焼いたベーコンやカレー粉を載せれば、食べ盛りの子どもたちも満足できるボリュームになる。
<ヒジキのサラダ> 煮物のイメージが強いヒジキは湯通しをしてサラダに。煮炊きのときの独特のにおいが気にならず、火を使う時間も少なくて済む。
<キンカンと大根と三ツ葉のサラダ> キンカンと三ツ葉のさわやかな香りがあり、食べやすい。気分がリラックスする。
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