小学校のプログラミング教育必修化 IT技術でなく論理的思考力が大事 文科省有識者会議
政府の新成長戦略に必修化が盛り込まれた小学校のプログラミング教育について、文部科学省の有識者会議は3日、コンピューターのプログラム作成技術ではなく論理的思考力などの育成が目的とする報告を大筋了承した。平成32年度から実施される次期学習指導要領で義務付けるため、中央教育審議会で議論される。
報告では、「プログラミング的思考」を、自分の意図を実現するための手順を論理的に考える力と定義。職業に関係なく必要として、各教科の中でコンピューターに指示することを体験させながら育成する。実施する学年や教科などは各小学校で決める。プログラム作成の作業を覚えることだとの誤解があると指摘。理科の実験・観察や算数の筆算を重視し、「生物を模したコンピューター上のモデルやロボットの動きを見る」では生物学習に代替できないなど注意も促した。
国が教育のICT(情報通信技術)化を推進する中、プログラミング教育は民間が先行。シーエーテックキッズ(東京)が毎夏実施する体験講座では昨年、3年前の10倍の約1千人が参加した。同社が重視するのはITと社会との結びつきだ。上野朝大(ともひろ)社長は「コンピューターが論理に沿って命令しないと動かないことを知り、やりたいことをITで実現できると理解することが大事だ」と話す。
必修化するには指導態勢の課題もある。特に学級担任が全教科を担当する小学校では、専門知識を持つ教員が少ないのが実情だ。
坂村健・東京大教授は「IT革命後、社会の仕組みが転換し、教育体系が従来のままというわけにはいかない。コンピューターの世界は目まぐるしく進化しており、自治体や学校で前倒ししてほしい。教員だけでなく外部人材を活用すべきだ」と話している。
[adrotate group=”7″]
[adrotate group=”8″]