<東京都>教員に組体操の体験求める 安全教育セミナーで
学校安全教育研究所と全国学校安全教育研究会は7月29日、安全教育の充実や教職員等の資質向上を目的とした「第12回学校の安全・危機管理セミナー」を東京都の文京区教育センターで開催した。
日本の地震活動や次期学習指導要領と安全教育など、さまざまな講演を実施。日本体育大学の三宅良輔教授は「組立体操の指導面におけるケガの原因と今後」をテーマに講演した。
同教授は、教員が「組立体操を体験するのが大切」と話した。
独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付データによると、平成23年度から26年度まで、組体操の事故は年間8千件を上回った。小学校では約6300件で、全体の73%を占めている。
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体育専科教員のいない小学校では、指導法を熟知している教員は少なく、組体操に危機感を持っている学校が多い。しかし、研修などの機会が少なく、十分な指導ができていない。
また過去46年間で9件の死亡事故が起きており、92人の子どもに障害が残っているという。
こうした背景を受けてスポーツ庁は3月25日、「組体操事故の防止について」との通知を都道府県教委などに出した。組織的な指導体制や活動内容に応じた安全対策の措置などが求められた。
同教授は「相手を思いやる気持ちを育てられ、仲間とともに取り組める組立体操は必要」とした上で、安全に関する指導者の認識の低さや知識不足を指摘。指導する教員が「組立体操の『魅力』に気付き、『難しさ』や『危なさ』を感じるのが大切」と話した。教員が講習を受けるだけの研修ではなく、実技体験を行える研修内容を求めた。
組体操に関しては、各都道府県で対応が異なっている。「ピラミッド」と「タワー」について、都教委は、都立学校では今年度は休止とし、区市町村教委では適切に判断するようにとした。福岡市教委は「実施しない」。神奈川県海老名市教委は児童生徒の安全を最優先とし、各学校で適切な判断を、としている。
同教授はこうした状況にふれ、「各学校が独自のやり方で組立体操に取り組んでいくのが大切」と述べ、児童生徒に対する教員のきめ細かい指導を求めた。
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