マラリア – 寄生虫シリーズ
マラリア(Malaria)は、亜熱帯・熱帯地域を中心に感染者数が多く、世界的に重要な感染症です。マラリアは100カ国余りで流行しており、世界保健機構(WHO)は、年間2億人以上の罹患者と200万人の死亡者があると推計しています。感染したマラリア原虫の種によって、病型や治療法も異なりますが、早期に適切な対応をしないと短期間で重症化し、死に至ることがあります。
マラリアの病原体

マラリアの症状
血中に入ったスポロゾイトは45分程度で肝細胞に取り込まれ、肝細胞内で分裂を開始し、数千個になった段階で肝細胞を破壊して血中に放出されます。メロゾイトは赤血球に侵入してさらに分裂し、8~32個に分裂した段階で赤血球膜を破壊して放出されます。放出されたメロゾイトは新たな赤血球に侵入し、上記のサイクルを繰り返します。マラリアに免疫のないヒトが初感染した場合、ほぼ確実に発熱が現れます。マラリア原虫侵入後の潜伏期は熱帯熱マラリアで12日前後、三日熱マラリアと卵形マラリアでは14日前後です。ただし、何度もマラリアに罹患して免疫を得ているヒトでは、発熱などの症状が軽度しかみられないこともあります。発熱に伴って、倦怠感、頭痛、筋肉痛、関節痛などがみられますが、腹部症状(悪心・嘔吐、下痢、腹痛)や呼吸器症状がめだつこともあり、マラリアを疑わないと、風邪やインフルエンザと誤診されることがあります。
マラリアの予防
旅行医学の領域でもマラリアは重要な疾患で、全世界では、旅行者が帰国してから発症する例が年間3万人程度あるとされています。マラリアに対して免疫がない旅行者では、診断・治療の遅れで致死的となるので、的確な早期対応が求められます。日本国内での報告数は、1990年代は増加傾向を示し、2000年には年間154例に達しましたが、最近は年間50~70例で推移しています。マラリアは、輸血や針刺し事故などによる感染も起こり得るので、検査検体を取り扱う際にも注意が必要です。日本国内では、1991年の輸血マラリアを最後に、輸入例以外の報告はありません。また、マラリア原虫を媒介するハマダラカは、日本国内にも生息していますが、生息地拡大や生息数増加を示唆する報告はあまりありません。
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