旋尾線虫症(せんびせんちゅうしょう) – 寄生虫シリーズ

旋尾線虫症 - ほけんだよりプラス - 寄生虫シリーズ
ヒト以外の動物を固有宿主とする寄生虫の幼虫がヒトに侵入した場合、成虫には発育できずに幼虫のまま体内を移動し、さまざまな症状を引き起こす症候群を幼虫移行症と呼んでいます。日本では、生鮮魚介類を加熱をしないで食べる(刺身、すし、酢づけなど)ことが普及しているために、魚介類に由来する幼虫移行症の発生が多くなっています。アニサキス症は代表的な事例ですが、「ホタルイカ」の生食によって感染する事が明らかとなった旋尾線虫の幼虫移行症もあります。この旋尾線虫幼虫移行症は、発生時期が例年4月、5月に集中していることから、この時期、発生、予防に注意を喚起することが必要です(ホタルイカの漁期は3月から8月)。
線虫

旋尾線虫症の原因

ホタルイカのイラスト
病原となる線虫は、終宿主と成虫が不明であるために旋尾線虫タイプX幼虫と仮に名付けられています。この幼虫はホタルイカ、スルメイカ、ハタハタ、スケソウダラ、アンコウなどの海産魚介類の内臓に寄生し、体長5〜10mm、体幅0.1mmで、アニサキス幼虫と異なり肉眼で認めることはできません。1990年頃から頻発した皮膚爬行症を示す患者から本種幼虫の断端が検出されましたが、その原因食材について当初は不明のままでした。しかし、続発した症例のなかにホタルイカを生食した患者があり、ホタルイカを検査したところ旋尾線虫タイプX幼虫の寄生が確認され、当時から出回っていたホタルイカを内臓ごと生食することが本症の原因となっていることが明らかとなりました。現在までの調査によれば、本種幼虫の寄生率は2〜7%で、寄生部位は主として内臓部分であると見られています。

旋尾線虫症の症状

旋尾線虫幼虫移行症は腸閉塞を含む急性腹症、あるいは皮膚爬行症などがその症状の大部分を占めています。急性腹症を起こすものでは、ホタルイカ摂食後数時間〜2日後より腹部膨満感、腹痛が出現します。腹痛の持続時間は2 〜10日で、多くは嘔気、嘔吐を伴います。皮膚症状はホタルイカ摂食後2週間前後の発症が多く、皮疹の大多数は腹部より始まります。爬行速度は比較的速く、線状の皮疹は1日2〜7cm 伸長します。数ミリ幅の赤い線状の皮疹が蛇行して長く伸び、浮腫状にわずかな隆起を伴う部分もあります。また、多くは水疱を伴います。

旋尾線虫症の治療

予防としては、ホタルイカの「踊り食い」や内臓付き未冷凍のものの刺身を絶対に避けることです。ホタルイカでの旋尾線虫タイプX幼虫の寄生部位は内臓ですので、内臓を除去した上での生食は危険性が少ないと考えられています。厚生省は、生食用のホタルイカの取り扱いと販売について各都道府県へ通達しました(平成12年6月21日)。
 1.生食を行う場合には、次の方法によること。
  (a) −30℃で4日間以上、もしくはそれと同等の殺虫能力を有する
    条件で凍結すること
  (b) 内臓を除去すること、又は、製品にその旨表示を行うこと。
 2. 生食用以外の場合は、加熱処理(沸騰水に投入後30秒保持、もし
  くは中心温度で60℃以上の加熱)を行うこと。



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