コメ飲料に変身!…コーラやミルクなど続々
豊富な栄養/やさしい甘さ
新米の季節を迎える中、コメを加工した飲料にも注目が集まっている。コーラやライスミルク、コーヒー風味など、コメならではの高い栄養価と甘みを生かしたのが特徴だ。主食米の消費低迷が続く中、農家や政府も需要拡大に期待を寄せている。
特有の味わい
「リンゴジュースみたいに甘くて、おいしい」
東京都板橋区の回転すし「無添くら寿司高島平店」で、同区に住む女児(6)は、「シャリコーラ」(税込み194円)を笑顔で飲んでいた。
回転すし大手くらコーポレーションが7月末に新発売したシャリコーラは、コメや米酢を使った炭酸飲料。コメ由来の甘みがあり、まろやかな口当たりに仕上げた。必須アミノ酸が含まれ、疲労回復などが期待できるという。生産が追いつかず、一時は販売を休止したほどの人気ぶりだ。
コメを原料に使った飲料の新商品が増えている。最近の傾向は、豊富な栄養や、まろやかな甘さなどのコメ特有の味わいに着目しており、健康志向の人などを中心に関心が高まっている。
江戸時代から、米麹こうじで造られる甘酒は「夏場の栄養ドリンク」として親しまれ、日本酒や米焼酎などは日本文化そのものでもある。筑波大の北村豊教授(食品加工学)は、「特に玄米の加工品は、食物繊維やたんぱく質、ビタミン、鉄分といった豊富な栄養素がとりやすい」と話す。
玄米焙煎 コーヒー風味も。
◇高齢者向けに
キッコーマン飲料は、コメだけで作る乳白色の飲料「玄米でつくったライスミルク」(190グラム、同216円)を昨年5月に発売した。みりんの製造技術を応用し甘みを引き出した。砂糖を使っておらず、ほんのり甘く仕上げた。高齢者向けの栄養飲料としても飲まれている。
玄米を炭化するまで焙煎ばいせんしたコーヒー風味の飲料「玄米コーヒー」も、原料にブランド米を使ったり、加工を工夫したりした商品が登場している。新潟県長岡市で地域おこしを手がける「FARM8」が今年5月発売した「COSHI―BROWN」(100グラム、同1620円)は、原料が県産米コシヒカリの玄米だけ。カフェインが入っておらず、コーヒーを飲めない人にも好評という。
コメを原料に使い、独自の味わいを求めるクラフトビール(地ビール)も増えている。昨年8月発売で、山形県のブランド米「つや姫」の米ぬかを使った「プリンセスエール」(310ミリ・リットル、同507円)は、山形県庄内町の酒販売「うめかわ」が企画した。コメの甘さと香ばしさを生かして醸造したという。
半世紀で半分以下に
◎消費量 農林水産省によると、1人当たりのコメの年間消費量はピーク時の1962年度には約118キロだったが、2015年度は約55キロと半分以下になった。
このため主食米だけでなく、利用の多様化によってコメの消費拡大につなげたい考えだ。主食用以外の作付けを支援し、その面積は08年度の約4万ヘクタールが15年度には約22万ヘクタールと5倍以上になった。
飲料だけでなく、米粉を使った麺やパスタ、パン、空揚げ粉などの商品も開発されている。(秋田穣)
[adrotate group=”7″]
[adrotate group=”8″]