<熊本地震> 熊本地震2ヵ月 被災者の食事に目配りを
熊本地震の発生から1カ月以上経過した先月20日以降、内閣府が「食事の改善は必須」と明記した文書を被災した熊本県や同県内市町村に送った。支援態勢が整った後も避難所の中でおにぎりやパンなど炭水化物の多い食品を3食の中心にした事例があったからだ。
衆院予算委員会で、熊本市の避難所の事例として栄養バランスの取れた食事が被災者に提供されていないと問題点を指摘され、国が文書で善処を求めたという。
地震発生直後は、生き延びるために体力を保つことが最優先される。まずは何か食べられればよかった。だが、避難生活が長引くと、事情は違ってくる。栄養が偏ったり、カロリー過多になったりすると体調維持も難しくなる。
食事ののみ込みが難しい高齢者や、特定の食物にアレルギー症状を起こす人もいる。被災者の中には「ぜいたくは言えない」と、要望を口に出せない人も少なくないはずだ。東日本大震災でも被災者の食事は課題になった。熊本地震の教訓を今後に生かしたい。
災害時の非常食で大学などと連携する新潟県のNPO法人は、「防災ランチ」を開発している。
火力なしで蒸す器具を使い、人工透析患者向けの低カリウムのコメを調理したり、ソバや卵など七大アレルギーに対応した料理を考案したりしている。熊本地震でもアレルギー対応のコメや粉ミルクを被災地に届けたそうだ。
日本栄養士会は熊本地震の発生翌日からボランティアの支援チームを現地に派遣し、高齢者向け介護食やビタミン剤などを熊本県に送った。福岡県栄養士会会長の大部正代・中村学園大教授(臨床栄養学)は「食料品が安定的に供給されるまで、ビタミン剤など補助食品も活用してほしい」と呼び掛けている。
ぜひ参考にしたい。
きょうで熊本地震は「前震」の発生から2カ月になる。12日夜には熊本県八代市で震度5弱の地震が起きた。今後も警戒が必要だ。同時に長期化する避難生活を踏まえ、被災者の食事にも目配りを欠かさないようにしたい。
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