食育推進 知識普及の次は実践の番だ
食を通じて、心身の健全な成長を育みたい。
きょうは「食育の日」だ。食育基本法に基づく推進基本計画で、毎月19日としている。6月は食育月間でもある。
今年度は、5年ごとの改定により、第3次基本計画が始まった。食生活の乱れがちな20~30歳代を重点対象としている。この世代で朝食を抜く人の割合を現状の25%から、5年後に15%以下とすることなどを目標に掲げた。
社会に出たり、子育てに入ったりすることも多い若い世代が、規則正しい食生活や食の知識を身につける意義は小さくない。
社会人が生活習慣の指導を受ける機会は限られる。自治体の啓発イベントに企業や医療機関が参画するなど、関係者が十分に連携を図る必要があろう。
内閣府の調べでは、食育という言葉を「知っていた」人の割合は昨年時点で79%と、10年前より26ポイント増えた。食品の選び方や調理の知識が「あると思う」人も63%と、18ポイント伸びている。
しかし、知識が実践につながっているかといえば、心もとない状況もある。例えば、野菜の摂取量は成人1日平均292グラムで、目標の350グラムに届いていない。
基本法制定から10年余りたっても、市町村ごとの推進計画はまだ2割以上で未作成だ。食育が定着するかどうかは家庭での意識の高まりにかかっているだけに、きめ細かな働きかけが求められる。
文部科学省によると、小中学生では、朝食を食べる頻度の高い子供ほど学力が高い傾向がみられるという。体力面も同様で、食育の大切さを裏付けている。
地域社会で取り組めることもある。沖縄県浦添市では、給食以外の食事に事欠くような子供も参加する調理体験会を開く形で支援している。食育と社会福祉を結びつける動きだろう。
第3次基本計画は、食料資源の浪費などが問題化している食品ロスの削減も重点課題に据えた。
長野県松本市の小学校で、食料自給率や海外の食料不足を授業で取り上げたところ、給食の食べ残しが最大34%も減ったという。
学校現場で食育を担うのは、栄養の指導と管理を専門とする「栄養教諭」だ。2005年度に制度化され、現在、全国約3万校を数える公立小中学校などに、約5300人が配属されている。
学校栄養職員が、都道府県の講習を受けて栄養教諭の免許を取得する仕組みもある。要員配置の一層の充実を図ることが重要だ。
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