<京都府>学習指導要領にもの申す 妊娠した高校生は「いなかったこと」ですか?
<「高校生はセックスをしないもの」として学校は運営>
京都の高校で、妊娠中の女子生徒が「卒業するには体育の実技が必要」と学校側に言われたというニュースが話題になりました。妊娠したからといって全く運動していけないわけではないので、可能な範囲で体を動かせば良かったのではないかなというのが感想ですが、学校側と生徒の間でいろいろと行き違いもあったようです。
そもそも、「全日制の学校は妊娠を想定していないので、妊娠を特別な事情とは考えていない」ということが前提にあったようですね。確かに、文部科学省の制定した学習指導要領は、高校生はセックスすべきではないという考えのもとにできています。そのため、セックスという行為については直接教えず、「性的接触」などとぼかしています。
また、性感染症については教えるため、その予防としてコンドームは出てきますが、セックスで妊娠することやバースコントロールについては教えません。そこへきて、生徒が実際に妊娠したとしても「想定していない」として特別に配慮することはないわけですから、ある意味一貫していると言えます。
想定外の「セックス、妊娠する高校生」は切り捨てか?
しかし、誰もが知っているように、高校を卒業するまでにセックスをする男女、妊娠する女子生徒は実際にいます。そのほとんどは高校を卒業するには至りませんし、その先の高等教育や専門技能の習得にも至りません。赤ちゃんの父親が逃げたり、女性は16歳未満、男性は18歳未満の場合は法律上結婚できなかったりするために未婚で産むケースも少なくありませんし、結婚した場合でも、10代の結婚は離婚率が高いため、最終的にシングルマザーになるケースが多いのは周知の通りです。
高校を卒業もせず、専門技能もないシングルマザーとその子どもは貧困に陥る率が高いのは想像に難くありません。このように、現在の学習指導要領と学校の姿勢は、「高校を卒業するまではセックスをすべきではないからセックスと妊娠については教えない。セックスをして女子生徒が妊娠をしたとしても学校教育から振り落とすだけ。その先は知らない」と実質上言っているようなものなのです。
社会は性的な情報であふれている
高校生以下の学生がセックスをする是非はさておき、学校教育の現場で「臭い物にふた」をしたところで生徒がセックスを含む性的なことを、そんなものがあるとは知らないまま、行為に至らないかというと当然そんなことはありません。コンビニに行けば「成人向け雑誌」が嫌でも目に入る場所においてありますし、インターネットにつながれば、質はさておき無制限に性的なサイトと接触できます。第二次性徴期に性ホルモンがたくさん分泌され、性的なものへの興味が湧き、性的衝動が起こることは、昨今さかんに啓発されている「生殖年齢には限界がある」というのと同じくらい生物学的に当たり前のことです。現代社会では10代が「学業に 邁進まいしん する」時期だからと言って、いつまでもそれを無視していていいのかと大変疑問に思います。
必要な知識を与えるよう学習指導要領改訂を
家庭での教育には非常にムラがある分野ですので、学生が興味を持つ時期に必要な知識を学校教育の場で与えるよう学習指導要領を改訂していただきたい。その上で「行為の結果に対して責任が取れるようになってから」と伝えた方が臭い物にふたをするよりはマシだと思います。そして、妊娠に至り出産を選んだ生徒に対しては、産み育てることと学ぶことが両立できるよう、母子のために配慮していただきたいと思います。
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